佳作 不法投棄による海洋汚染

大阪教育大学附属平野中学校 2年 永田 碧空

 私が「海」と聞いて思い浮かべるのは、「海洋汚染」です。
 なぜなら、テレビにプラスチックなどのゴミで水面がおおわれてしまっている一部の海の映像を見たからです。なぜゴミが大量に海に捨てられているのか気になったので、色々と調べてみました。まずは一年間で捨てられるゴミの量と、不法投棄されるゴミの量で、捨てられる量はおよそ五億トンで、不法投棄される量は十五.七万トンです。一年間で十五万トンものゴミが海などに捨てられていることになります。次に、海にゴミが捨てられるとどんな影響が出るかですが、ここではプラスチックに限定して説明しようと思います。
環境中に流れ出たプラスチックが外的要因で劣化することで発生するのが2次マイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは微細なので製品化した後の対策や自然環境中での回収は困難です。また、魚などが誤飲してしまい、生物の生態系への影響やマイクロプラスチックを食べた生物を人間が食べることで人体への影響も考えられます。人がマイクロプラスチックを体に取りこむと、女性の場合乳がん・子宮内膜症の増加、男性の場合、生殖機能の低下、胎児の場合、発育異常・知能への影響があるといわれています。このように、海にプラスチックを捨てても、人間にとっても他の生物にとってもデメリットにしかなりません。そこで、少しでもプラスチック類のゴミの削減に向けて行われている取り組みについて少し考えたいと思います。雑誌「日経トレンディ」が発表した、2018年のヒット商品ランキングでは、第3位に「ペットボトルコーヒー」が選ばれました。ヒットの背景には、オフィスワーカーが働き「ながら」ゆっくり飲める商品が求められる点があると指摘されています。飲んでいる途中でもフタの開け閉めが可能というペットボトルの便利さがその需要にマッチしたのです。このような市場の動向を受け、関連業界では製品の増産に乗り出しました。このように世界中でたくさんのものがプラスチック製の製品になり、その結果、不法投棄されるゴミの量が増えてしまいました。そこで近年、世界中で「脱・プラスチック」の運動がさかんになっています。特にイギリスは先進的に取り組んでいます。ロンドンでは無料で使える給水機を増やす取り組みが活発で、マイボトルを持ち歩く習慣が市民のあいだで定着しつつあるそうです。5大世界流通大手の一つであるイギリスの「TESCO」は、自社製品の水ボトルをプラスチック製からアルミ製に一新しました。開け閉めできるフタ付きで、利便性にも配慮された容器になっています。さらにアメリカのペプシコでは2018年8月に家庭用炭酸水メーカーを販売するソーダストリームを買収し、ボトル入り飲料以外の事業拡大の道筋をつけました。また、フランスのダノン社が再生プラスチックの新技術を利用したペットボトルの製造を検討していることが報じられました。ペットボトルに頼らない生活を実現するための商品やサービスも開発されています。オランダでは、一番近くにある給水スポットを探すアプリ「TAP」が開発されました。アメリカでは自己浄化機能付きマイボトル「LARQボトル」が発売されました。このボトルはフタをタップして一分まつだけで生物汚染物質の99.9999%を除去できるそうです。また、プラスチック製品の使用を禁止する法案が可決し、2021年からプラスチック製品が使用できなくなるなど、企業だけでなく国全体が海洋プラスチックゴミ削減に向けて動きはじめています。
いち早く日本でも積水ハウスとアディダスがそれぞれ本社と関連会社、子会社に社内会議でのペットボトル使用禁止、オフィスでのペットボトル使用禁止を発表しました。このように、自分達のできることを考え最善を尽くせば、もっとゴミの量は減らせると思いました。この地球をこれからも守っていくために、まずは身近な所から、環境保全の取り組みを自分のできる範囲でやってみようとあらためて思いました。

2020年12月02日