佳作 海の恵みを大切に

大阪教育大学附属平野中学校 2年 長見 和毅

 地球は7割が海で覆われています。人類は新たな場所を探すとき、新たな仲間を見つけるとき、敵を倒すとき、必ず海を越えていかなければならなかったと思います。海の音を聞き、船で旅をするとき、冒険心をくすぶられるのは、このような人類の長い歴史から来るのかもしれません。私が好きな海にゆかりのある歴史上の出来事をいくつか紹介していきたいと思います。
 日本は島国であり四方八方を海で囲まれています。中でも、瀬戸内海は中国地方と四国地方で挟まれており、流れ穏やかな海として知られています。瀬戸内海の出口である鳴門で、流れの速い太平洋と合流した結果、有名な渦潮ができるというわけです。瀬戸内海には昔、潮の流れや満ち引きなど、その海のことを熟知した海賊である水軍がいたといいます。平安時代には平清盛が、戦国時代には毛利元就が、その水軍を味方につけて歴史を動かしてきました。まさに、海を知る者が時代を制してきたということが分かります。また、江戸時代末期には土佐藩士の坂本龍馬が「海援隊」を結成し、日本で初めての貿易会社として活動したほか、武器や食糧の供給などで薩長同盟を支援して江戸幕府を倒す原動力となりました。こちらも、歴史の大きな転機に海を活用した者が活躍したことになります。
 世界にはもっとスケールの大きい出来事がたくさんあります。「世界冒険」といえば、有名なのはコロンブスだと思います。インドを目指して、東に向けてアフリカ経由で行くのではなく、地球が丸いことを利用して西から目指して冒険しました。結果としてインドに到着するのではなく、ヨーロッパ人にとって未開の土地であったアメリカに到着することになるのですが、右にある場所に行くのに左に向けて出発するなんてかなり勇気がいることだと思います。さらに、マゼランは世界一周を目指して旅に出ます。途中で死んでしまった事実からも分かるとおり、過酷でありある意味で無謀な冒険だったのかもしれません。彼らの挑戦によって、地球は丸く、かつ様々な未知なる人々や物事がたくさんあることが発見されました。海を超えることで得られた大きな成果だと思います。
 また、世界では海の航行をより便利にするために、海に道を作ってしまいます。一つ目は、地中海とインド洋を結ぶスエズ運河です。ヨーロッパの人がインドなどアジアに行くにはアフリカの喜望峰を通って行かなければならず、時間と労力が大変かかってしまうものでした。そこでエジプトのスエズに地中海と紅海をつなぐ運河を作ってしまいます。一八六九年に完成しましたが、これは明治維新直後の出来事であり、ヨーロッパは進んでいるなと感じます。
二つ目は、大西洋と太平洋をつなぐパナマ運河です。ヨーロッパの人、あるいはアメリカ東海岸側の人が太平洋を目指すには南アメリカ大陸の南のはしを通過する必要があり、危険を伴う難所でありました。そこで、パナマ共和国にある地峡に運河を建設しました。こちらは一九一四年に完成しましたが、やはり世界の技術力の高さには驚かされます。しかも、大西洋と太平洋は高さが異なるため、単純に土地を切り開くだけでは構造上使えず、この運河はいくつかの水門を開け閉めし、二四時間かけて移動するという仕組みになっています。これらにより人や物の行き来が格段によくなり、経済の発展に大きく貢献していると思います。
 このように、人類は海を知り、海を利用し海を作ることで、冒険心を高めて成長してきたと思います。これから私たちは海とどのように関わっていくべきでしょうか。第一は、もっと海のことを知る必要があるということです。海は地球環境と切っても切り離せないものです。地球温暖化が危惧される中で、海を取り巻く環境も変わってくると思います。私たちは環境の変化に伴い海がどのように変化し、船の航行等にどのような影響を及ぼすのかをしっかりと知る必要があると思います。
第二に共有です。海は人類みんなの宝です。勝手な行動により海がだめなものになるのは残念でなりません。島国の日本人である私たちも先人をみならい、海を理解し、海を活かして、日本や世界の発展のために貢献していければ良いなと思います。

2020年12月02日