佳作 海運業の今後

大阪教育大学附属平野中学校 2年 小林 健

 海運業界とは、海運業に携わる業界のことで、私たちの身の回りにある日用品や木材、鉄鉱石、燃料となる原油、液化天然ガス(LNG)、石炭など、ほとんどが船で運ばれています。時間がかかりますが、長距離輸送に適していること、他の輸送手段と比べて低価格で一度にたくさんの貨物を運べるなどから地球にとってエコで重要な輸送手段です。
 日本は海に四面を囲まれ、資源の乏しい国です。多くの原材料を輸入し、国内の工場で製品を作り、海外に輸出しています。海運業は海外貿易の99.6%、国内の輸送でも約4割、鉄鉱や石油製品などの輸送では約8割を占めています。
 私が、海運業界をテーマに選んだ理由は、日本は資源が乏しいため、日本を発展させるには、輸送を増やし、それを支える海運業が重要だと思ったからです。
 海外で作れる製品であれば、海外のほうが安くて豊富な労働力が得られます。また、現地で生産・販売すると、日本から製品として海運業を通じて輸出するよりロスが少なくなり、コストが減ります。そのため、日本の製品作りは海外に移行し、海運業の輸送量が減少しています。(問題①)
 また、新興国の発展に伴い、全世界の海上輸送は、増え続けています。海上の荷動きは年間100億トンを超え、海運業によるCO2の排出量は世界で2%に至り、これはドイツ一国の排出量に相等します。よって地球温暖化などの環境問題を深刻化させています。(問題②)
 日本の将来の海運業のあるべき姿は、海運業のビジネス発展や人工知能(AI)、物のインターネット(IOT)、情報通信技術(ICT)などの最新のテクノロジーを活用して、環境にやさしい、需要予測ができる海運業を構築することです。それに無人運航自動化やシステム化を目指すことも重要だと考えます。しかし、現実的には現状の上記問題を解決する必要があると思われます。問題①の解決には、日本の新技術による新製品を増やし、 海外に輸出することが海運業を発展させるために必要です。また、問題②の解決には、増える傾向にある海運業界のエネルギー消費を抑え、地球温暖化を防ぐ必要があると思います。
 問題①を解決する方法は、日本が今、世界をリードしているロボット技術の活用が挙げられます。高齢化社会となった日本こそが、AIやIOTなどの新技術を使った、介護ロボットや医療用ロボットを開発することができ、また、海運業を通じて世界に輸出できると思われます。また、産業用ロボットを使って、国内の人手不足を解消し、新しい介護ロボットや医療ロボットなどを生産します。そして、介護者の慢性的な人材不足という日本の社会問題をロボット技術によって解決していくことができます。
 問題②を解決する方法は、船舶の環境問題を解決することです。
 2050年までにCO2排出量を50%削減するという世界目標を達成するためには、 従来の技術では困難です。ICTで運航オペレーションの改善、省エネルギー化を進め、LNGなどによる重油代替、低炭素燃料の導入など、今後の取り組みが重要です。
 以上のことから、日本が先進しているロボットを輸出することにより、輸出量が増え、海運業が発展し、日本も発展します。更にLNGや低炭素燃料による重油代替により、CO2排出量を50%削減できるようになります。
 また将来の海運のあるべき姿は、無人運航自動化により、海運の抜本的な透明化、超合理化が進み、需要予想のあり方が変わることや、造船所のあり方が変わり、故障予知によるメンテナンス、3Dプリンターによる港湾単位での部品建造が普及し、それにより、輸送システム全体で、船舶、ドローンが最的配置されるようになることです。
 これ以外にも、無人船舶の登場で、港や航路のインフラ整備、船員の役割変化、新しい法律や保険の登場、セキュリティ対策、観光振興、離島経済など様々な変化が今後期待されています。

2020年12月02日