佳作 うなぎが食べたい

大阪教育大学附属平野中学校 2年 小牟田 来望

 日本の夏の風物詩となっている、うなぎ。
 私はうなぎの蒲焼きが大好きだ。しかしある土用の丑の日、私は「ニホンウナギの漁獲量が激減し、養殖に必要な稚魚(シラスウナギ)を確保することも難しくなっている。」というニュースを見た。私は少し驚いたが、そのときはちょっとうなぎが高くなるくらいで食べられなくなるまでにはならないだろうと軽く考えていた。しかし、うなぎの値上がりはなんと我が家の食卓にも影響を与え、うなぎの代わりにさんまやいわしの蒲焼きがごはんの上にのっていた。私は声を上げそうになるくらいショックを受けた。なぜかというと、我々子供たちが唯一、年に一度うなぎという高級食材を食べられる機会を失ってしまったからだ。タレも今までと変わらないし、さんまやいわしもおいしいのだがこれはうなぎではないという感覚が残ってしまう。それからも、私はうなぎの蒲焼きをあまり食べられていない。やっぱり私はうなぎが食べたいのだ。そこで、なぜうなぎが減少しているのか気になったので調べてみることにした。
 すると、ニホンウナギは二〇一四年に国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されていたことが分かった。そうすると、私たちはうなぎを食べてはいけないのだろうか。
 なぜ、うなぎが減ってきているのか。原因は大きく三つあるそうだ。
 一つ目はうなぎの養殖技術の発展だ。量販店などでパック商品が生まれ、それまで「高級品」というイメージだったうなぎが一気に身近な食べ物となり、中国で日本に売るための養殖が増え、日本近海に稚魚が辿り着くまでに相当数獲られてしまうということだ。
 二つ目は、密漁だ。うなぎは都道府県知事の許可証がなければ捕獲できないそうだが、だれでも比較的簡単に捕まえられることもあり、密漁はあとを絶たないらしい。さらに、天然のシラスウナギは「白いダイヤ」と呼ばれ、高額で取引される。私たちがスーパーで買っているうなぎも密漁で捕られた可能性が大いにあり、それらを見分けるには専門業者でも難しいそうだ。
 三つ目は、うなぎの生息域の環境の変化だ。私は小学校の教科書で塚本勝巳さんの「ウナギの謎を追って」で、うなぎがマリアナの海に産卵し川に戻ってくることを学んだ。しかしダム建設などが行われると、うなぎが遡る川の流れを途切れさせてしまい、そのすみかを奪ってしまう。また、河川などの沿岸をコンクリートの堤防で護岸する工事も、うなぎの食べ物となる小さな動物を減少させる原因にもなってしまう。さらに近年は、地球温暖化の影響による海水温の上昇や、海流の変化がうなぎの産卵および回遊経路に大きな影響を及ぼす可能性があるそうだ。
 うなぎの減少にこのような理由があることは分かった。しかしその中で私がうなぎのためにできることはあるのだろうか。
 まず環境問題については、日々の生活で3Rや節電・節水などをすることができる。他にも近年広がっているプラスチックごみによる海洋汚染を防ぐために、できるだけ使い捨てのプラスチック製品を使わないように心がけることもできる。
 しかし、うなぎの減少を防ぐために私たちがうなぎを食べる量を減らすとしたら、うなぎ業界に収集が入らなくなり困るのではないだろうかと不思議に思ったので、もう少し調べてみることにした。
 すると、こんな意見を見つけた。
『食べるか、食べないか白黒つけるのではなく、「量より質」のビジネスに変えて、食べる量を減らすことが大切。』
 という意見だ。つまり、安いパックのうなぎを三回食べるより、土用の丑の日に町のうなぎ料理店でとっておきのうな重をごちそうとして一回食べるということだ。確かにこれこそが、私の思う一番おいしいうなぎの食べ方であり、日本の食文化を守る食べ方だ。思い返してみれば、私もスーパーで買ってきた安いうなぎばかりで、圧倒的にお店で食べることは少なかった。そのためにこれからは、このことを両親や知り合いに伝え、うなぎを「量より質」のビジネスにするために、スーパーのうなぎをたくさん食べることをやめて、年に一度お店のうなぎを食べることを勧めようと思う。そしていつかニホンウナギが絶滅危惧種から外されて、私の大好きなうなぎを安心して日常的に食べられる日が来ることを待ち望んでいる。

2020年12月02日