銀賞 プラスチックによる環境破壊

大阪市立堀江中学校 2年 桐淵 蘭

 二〇二〇年七月一日から全国で一斉にプラスチック製買い物袋の有料化が開始されました。私はこのニュースを見て最初、
「買い物袋持参って当たり前のことじゃないの?」
と思いました。というのも、私の家では買い物する時にはエコバッグ持参は当然のことだったからです。
 この買い物袋有料化のニュースには様々なニュース番組で取り上げられ議論されていました。このプラスチック製買い物袋の有料化は海洋ごみ問題や地球温暖化といった地球規模の課題が深刻化しているため、プラスチックごみ削減に向けた消費者のライフスタイルの変革を促すために制定されたということですが、一方、海洋プラスチックごみのうち、レジ袋が占める割合はわずか数パーセントに過ぎないということが報道されていました。私は海でプラスチック袋がたくさん浮いているのをみたことがあったので、この報道に大変驚きました。
 世界の海洋プラスチックごみついて調べてみると、世界全体で毎年八百万トンものごみが海にたまり続けているそうです。またその重さが二〇五〇年までに魚を上回るそうです。海で海洋ごみがからまったり、これを誤って摂取したりすることで、絶滅危惧種を含む七百種もの生物が傷つけられたり死んでしまったりしていますが、このうちの九十二パーセントが海洋プラスチックによるものだそうです。
 私は将来、獣医になりたいと考えています。ネコや犬などの愛玩動物も好きですが、海ガメやペンギン、イルカなどの海洋動物も大変好きなので、よくインターネットでそれらの動画を見ています。その中で衝撃だったのは、海ガメの鼻からプラスチックストローが出てきた映像でした。プラスチックストローは海ガメの鼻にぴったり収まり長い時間たっているのか、生物学者たちが引っ張ってもなかなか出てきませんでした。その間海ガメは痛いのを我慢しているのか泣いているようにも見えました。
 海ガメは海に漂うプラスチック製のポリ袋をえさのクラゲと間違えて飲み込んでしまい、胃の中にそれがとどまってしまうため、満腹であると勘違いしてしまい、食事をとらずに餓死してしまうこともあるのだということです。実際、海ガメやクジラ、魚や鳥などの体内から、マイクロプラスチックを含むプラスチック製品がたくさん見つかっています。周りを海に囲まれていて、魚をよく食べる日本人にとって、この問題は私たちの健康にも深刻な影響を及ぼすと考えています。
 私は二年前、フィリピンの海に行く機会がありました。セブ島というリゾート地でしたが、たくさんのペットボトルや袋などが浮いていて沖ではきれいな魚が見られた一方、決してとても美しいとは言えない海でした。これは日本の海水浴場でもよく見られる光景だと思いますが、その時、フィリピンの飲食店に入った際、ストローが紙製であることに気づきました。日本でも最近はコーヒーチェーン店などでプラスチックストローを廃止する動きがありますが、その時はまだ日本ではあまり見たことがなかったので、先進国である日本の方がプラスチック問題については後進国ではないかと思いました。
 私の家では買い物にはエコバッグを持参するのに加えてペットボトルのお茶は買わずにお茶パックを煮出したり、水出しで作っています。夏場はどうしてもジュースを飲みたくなってしまいますが、なるべく紙パック製のものを買ったり、適切に処分するように努めています。レジ袋も、エコバッグを持っていくのを忘れたり、思った以上に買い物してしまい、入りきらない場合にも購入することもあるでしょう。その際には、海中の微生物によって分解される「海洋生分解性プラスチック」で作られたレジ袋や、植物由来の「バイオマスプラスチック」を二十五パーセント以上含むレジ袋を提供してくれるお店を選ぶことも選択肢の一つだと思います。
 私たちの生活には切っても切れない海。その海を守っていくこと、守る努力を怠らないことが私たちに課せられた使命だと思います。

2020年12月02日