佳作 海洋レクリエーション人気向上のために

大阪教育大学附属平野中学校 3年 木下 次元

 僕は奈良県に住んでいる。そう、いわゆる海なし県だ。それでも僕は、海が大好きだ。
 毎年、夏のシーズンになると僕は家族と伊豆の方に旅行へ行く。目的はもちろん海。ダイビング、シュノーケリング、海水浴、カヤック、遊覧船、海鮮三昧、加えて川遊び、滝めぐりと、海につながる一式以上のことを楽しむことができる。毎年行くたびに、もっと行きたいという気持ちが増えてくる。
 旅行に行くときはいつも父が運転をしてくれている。伊豆なら6時間ぐらいずっと一人で運転をしてくれている。僕はいつもうれしいけれど、どうしてそんなに遠くまでいくのかと聞いたことがあった。父に聞いても、
「そうやなぁ、遠いよなぁ。でも俺は近くよりあっち行く方が楽やで。」
と答えがあるようでなかった。もちろん気分転換に遠くへ旅行という目的はあるのだろうけど、海を満喫しようと思えばもっと近くでもできるんじゃないかなと思った。
 そこで僕は今回、海の作文を考えるにあたり、父の言葉?を自分なりに解釈してみることにした。
 海は山を越えれば、僕の周りにもいくらでもある。和歌山の串本は有名なダイビングスポット、ちょっと手前の白良浜海水浴場はとてもきれいな海水浴場。兵庫県日本海側の竹野の方に行けばカヤックやシュノーケルが出来る。なんだ、十分こっちでも満足できそうだ。そういえばこのあたりには前よく連れて行ってもらったけど、最近はあんまり行っていない。行っても早朝着の昼帰りになっている。どうして旅行にしないのだろうか?
僕はよく旅行として近海に遊びに行った時のことをよく思い起こしてみた。
確かに、何かをしている時は楽しかった。だけど、他の時間は?と考えると、ずっと車の中。大渋滞。駐車場に入れない、昼食も人が多すぎてまともに食べれない。一個レクリエーションをした後に次に行こうとしても、渋滞がひどすぎて何も出来ない。
なるほど、少しわかった気がする。この辺りで楽しい旅行にするためには、“時期を選び”の但し書きがつくのだ。そう、夏のシーズンには混み過ぎるのだ。あれっ、でも伊豆の方ではお盆休みでも渋滞やすごい混雑という記憶があんまりない。どういうことだろう。
夏に人が海を求め集中するのは当然だろう。そう考えると伊豆の方が断然集客数は多いはずだ。それなのになぜ僕の周りと、伊豆のほうとでは快適度がこんなにも違うのだろう?
ひとまず僕は地図で近畿の沿岸と伊豆の沿岸を見比べてそのあたりを推測してみた。地形の良い悪いはあるだろうけど、圧倒的に伊豆の方が道が細いしくねくねだ。なのになぜあんなに快適に移動できるのだろう。
次に僕はいろんな施設をチェックしてみた。
そこで僕はふと、気が付いた。関西でダイビングをしたいと思ったら、それなりにスポットはあった。だけどどこもスポットとスポットの間の距離が遠い。これではたとえ混んでいたとしても移動して別の場所にとはできない。だから仕方なくそこがすくのを待ち続ける必要があり渋滞のもとになる。伊豆の方は、スポットがきれいに点在している。なので、近辺で選択が可能だ。そうするとわざわざ混雑したところを選ぶ必要もなく待つ必要が無いので、渋滞もあまり起きない。
 次にカヤック等海洋スポーツができる場所について探してみた。これも本当に一緒。いっぱいあるのに、関西はそれぞれが遠い。伊豆の方は、近辺にそれぞれの目的に適した施設が点在。まとめると、関西の海洋レクリエーション施設は各所に“離散”。伊豆は各所に“分散”。
 この辺りに答えがありそうだ。
 海洋レクリエーションは安全にさえ気を配れば、とても楽しく手軽な娯楽だ。だけどこれらの人気の停滞は、気軽にエントリーできる施設の不足が原因の一つではないだろうか。
 海に行こうと思っても、どうせ混んでるしと考えると、どうしても行きたくなくなる。それが一つのエリアでスポットの選択ができるようになると、その施設の混雑も解消されるし、利用者も快適になる。もちろんオフシーズンの維持管理は大きな問題だろう。だけどそんなに大きな施設はいらない。まずは駐車場と便所・更衣室。これらを海岸沿いに点在させるだけで十分に人気が出ると思う。
 様々なレクリエーションがでてきて話題になるが、そんなものはいらない。普通でいい。普通の海洋レクリエーションを誰もが気軽にエントリーできるようになれば、沿岸部はどんどん発展できる可能性があるはずだ。
 僕の推測を父は何というだろう。たぶんまた、とぼけてお盆はクラゲがなぁ、とかいうんだろうか。

2020年12月02日