佳作 海と人間の共存

吹田市立第一中学校 1年 松田 佳奈

 数年前、外国の海岸に一匹のクジラが打ち上げられていたという話を聞いたことがあります。そのクジラは大量のプラスチックの袋を飲み込んでいて、助かりませんでした。このクラジのように、海に漂うプラスチックの袋をえさと間違えて海の生物が食べてしまうことは、最近よく聞く悲しい話です。
 昔はきれいだったはずの海に、プラスチックの袋のような人工のごみがあるのはなぜなのでしょうか。
 私達の身の周りにはたくさんのプラスチック製品があります。レジ袋やペットボトルで考えると、その量の多さがよく分かります。多くの人は、それらのごみを分別して正しい方法で捨てていると思います。しかし、その正しい方法によらないで、身勝手な方法で捨てたりしてしまうと、このように海に漂うプラスチックのごみが発生する原因の一つになってしまうのです。それらがごみとして海に流れてしまっているという現実は、一人一人が真剣に見つめ直さなければいけない、未来への課題だと思います。このような状態が続いていくと、人間の安全も脅かされ続けると思うからです。海の生き物の生態系を壊してしまうかもしれないことでもあり、それは地球上の全ての生き物にとっても一大事です。
 海の生き物の命をいただいて暮らしている私達は、海の生き物に感謝するべきであって、その命をこのような形で奪ってしまってはいけません。
 プラスチックでできた物はとても便利です。でも、プラスチックばかりを頼っていくのは危険だと思います。ストロー等は、プラスチックではなく、紙等を代わりに使用していこうという企業が増えてきています。これは環境にとっても、人間にとってもいいことだと思います。
 プラスチックを全く無くすのではなく、うまく共存していくことが大切だと私は思います。そのためには、当たり前になっている意識を変える必要があります。
 最近、日本ではレジ袋が有料になりました。今までは無料だったので、不便に思う人もいると思います。しかし、これはプラスチックのごみについて考えるという、一人一人の意識を高めるいい機会だと思います。レジ袋が有料になっていなければ、プラスチックのごみについて考える人はいなかったかもしれません。一人にできることは多くはないのですが、みんなが協力してプラスチックのごみを本当に必要な分だけにして、捨てる時の分別もしっかりやれば、海だけではなく、地球上の生き物全てが暮らしやすい環境を取り戻せると思いました。
 私が小学生だった時に、校区を掃除するという企画に参加したことがありました。その時に拾ったごみは乾電池や空き缶、たばこの吸い殻等もありました。私が拾ったごみは、量はそんなにありませんでしたが、その内容に驚きました。乾電池やたばこの吸い殻は雨に濡れたりして中身が出てしまったら有害です。そんなごみを道端に捨ててしまう人がいるということが悲しいです。私は「悲しい」だけで済みますが、海の生き物はそうはいきません。命に関わります。そして、海から逃げられません。人工的なごみが海を漂っていることなんて知らない海の生き物たちは、その生涯を人工的なごみによってもてあそばれるのです。
 海のごみで、人工的なものといえばレジ袋等のプラスチック製品が思い浮かびますが、乾電池やたばこの吸い殻等も海に漂っていると想像でき、複雑な気持ちになりました。
 生き物が死ぬと、微生物がそれを分解してくれますが、プラスチック等の人工物は自然にかえることはなく、永遠に残り続けます。現時点で相当な量のごみが海を漂っています。でも、諦めてはいけないと思います。今からでも遅くはありません。これから一人一人が海をきれいにしようというより一層の心がけを持って海を大切にすれば、昔のようなきれいな海が戻ってくると思います。きれいになった海を想像すると、心が洗われます。
 すぐにはその効果が実感できないかもしれません。それでも、長い年月をかけて海のごみを減らすという努力を続ければ、いつかきっと形となって、人間の前に現れることでしょう。
 今の私に何ができるかを考えた時、大量のプラスチックを飲み込んだあのクジラのことが真っ先に浮かびました。このようなことはあってはならないことです。プラスチックのごみの犠牲はこれで最後であってほしいです。
 私達が意識を変えることで、海の生き物が元気に暮らせるようになり、うまく共存していくことができるようになると思います。そうするためには、一人一人が現状を再確認し、便利さだけを求めるのではなく、未来を考えて、賢く暮らせるようになることが大切だと私は思いました。

2020年12月02日