佳作 神話と海

吹田市立第一中学校 3年 上田 菜緒

 今回、海に関連することについて作文を書くことになったので、サンゴ礁の危機につて書こうと思ったが、それではありきたりだと思って、今回は大好きな古事記と海の関係について書こうと思う。古事記には、「ヤマタノオロチ神話」や「因幡の白兎」、「根の堅洲国神話」など、海を題材にした話が多くある。古代の出雲大社は古事記神話における神が祀られている。本殿からは海を見ることができ、長い海岸線と穀倉地帯が広がり、中国山脈がある。なので、ここには海洋性豊かな宗教文化、神話文化があり、出雲神話の特色になっている。
 はじめに例としてあげたヤマタノオロチ神話。この話は、神たちに追放された須佐男が島根県奥出雲町の鳥髪という地でオロチに喰われる運命にある娘を助けるため、オロチを退治するというものである。古事記には『オロチは赤く大きな目をして、一つの胴体に、八つの頭、八つの尾がある。その体には苔ばかりか杉や檜まで生えていて長さは八つの山を超えるほどで、その腹にはいつも血が滲んでいる』と恐ろしい姿で書かれている。龍蛇神は架空の生き物で天空、河川、そして海底など色々なところに住んでいるとされるが、日本の龍蛇が海洋的と言われている。私ははじめ、日本は海洋国で他国より陸の大きさに対し領海が広いことが要因だと思った。しかし、調べてみてそれだけではないことがわかった。もう一つの理由は、龍蛇の故郷が龍宮であり、豊穣の源泉地であるとされているかららしい。つまり、龍蛇を殺すということは神の死と復活であり、出雲の海の文化を象徴するオロチは穀物の神だと言うことができると考えられている。このことから、昔の人も広い海を大切に想っていたということが窺える。
『御諸山縁起』もまた、同じようなことが書かれている。神が国作りをする時には二柱の神で国の土台を作る神と、穀物をもたらす神で役割を分担すると書かれている。これは、農耕には土地を整える陸の神と穀物の種(先程いった龍宮にあるとされる)をもたらす海の神が協力しあわないと成立しないと書かれている。
 これらのことから、昔の人は穀物が取れることを海のおかげだと考え、大切にしていたと思われる。今、私たち人間が海にプラスチック類のゴミを捨てたりすることが原因で海の環境を汚し、海の生き物に悪影響を与えている。このままだと三十年後には海のプラスチックゴミは魚の量を上回るとまでいわれている。古代の人たちが大切に想っていた海を壊してしまわないように、私たちは海に感謝しながら、今後関わっていかなければならない。

2020年12月02日