銀賞 海の恐ろしさ

大阪市立長吉六反中学校 3年 岡本 真幸

 僕は、最近あるニュース記事を目にした。それは東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出についての記事であった。少し気になったので調べてみた。
 その記事の概要は、十年前に東北で発生した東日本大震災に伴う地震・津波の影響で水素爆発を起こした福島第一原発の処理水を福島県沖の太平洋に放出する、というものである。このニュースを見て、僕が思った事は本当に大丈夫なのかという事です。あの地震の様子、あの爆発の様子を見ると、不謹慎ではありますが汚染はかなり進んでいるのではないかと思ってしまいます。だからこそ、本当に放出したら漁業に支障が出たりしないのかなと不安になってしまいます。現に、福島県の地元の漁師の団体も反対運動を起こしていて、反対の意識を持っている事が分かります。僕は、この記事を見るまで東日本大震災について考えていませんでした。十年前、海が全てを喰らったあの日、そして目に見えないもので福島県の一部が汚染されたあの日の事を知っておくべきだなと強く感じました。
 知る第一歩として、まずは三月十一日地震発生当日の映像を見てみました。午後二時四十六分。緊急音が鳴り響き、東北地方を大きな揺れが襲いました。震度七のテロップが出され、どのテレビ局も大地震の発生を報じていました。その後、東北沿岸に大津波警報が発令されその様子が中継されていました。その様子は目を疑うものでした。ドス黒い水が生活の拠点に覆いかぶさっていく映像は、この世のものとは思えなかったです。改めて海の恐ろしさが身にしみました。その後に中継されていたのは、先程話した原子力発電所の爆発の様子でした。ほんの数時間前まで普通に稼動していたものが、高く煙をあげて爆発している様子は日本国民全員に恐怖を与えたことでしょう。その後に見たものは、津波が引いた後の街の様子です。建物のほとんどが倒壊していて、街は地獄と化していました。私たちと密接に関わっている海が、ここまで日常を破壊し尽くすのか、ここまで残酷なのかと強く感じました。津波だけでも物凄い被害が出ているのに、それに加えて放射線漏えいによる被害も出るなんて当時の人々からすれば想像も出来なかったでしょう。しかし今を生きる私たちには、その被害を見たことでこの先の未来で起こるであろう大地震が引き起こす被害を想像し、対策する事が出来ます。ある程度、被害が予測できる地震として、最もよく挙げられるのが、南海トラフ巨大地震である。二千三十年までに来る確率が約八十%とかなり高く、総死者数は約三十二万人と予測されており、その死者の過半数が津波によるものだとされている。津波の高さは、高いところで約三十四メートルと予測されており、東日本大震災の約二倍である。しかしあくまでも、予測であり必ず三十四メートルの津波が来るわけではない。海は恐ろしいもので、それ以上の高さの津波が来る可能性だってある。ここでもう一度、東日本大震災後の震災地の風景を思い出して欲しい。我々は充分海の恐ろしさをもう知ったはずだ。海が全てを流していく恐ろしさを嫌というほど味わったはずだ。あの惨劇を繰り返さないために私たちには何ができるのかを考えた時に、真っ先に思い浮かんだのが、海の危険性を「広めていくこと」であった。単純な考えではあるが広めていくことはとても大切だと思う。広めることで少なからず、危機意識の高まる人はいると思う。海の危険さを広める、という意識を持つことは誰にでも出来る。だからより多くの人にしてほしいのである。
 最後に、海は綺麗である。日本中所々に素晴らしい海水浴場があるし、実際直接自然に触れることのできる貴重な場所である。しかし、その反面危険が潜んでいることを忘れてはならない。海は綺麗で恐ろしいのである。

2021年12月18日