佳作 海の顔

吹田市立第一中学校3年 松原 咲穂

 私は小さい頃と今とで海から受ける印象が全然違います。同じ海を見ていてもその人の状況や感情などによって様々な顔を見せてくれる海に魅力を感じたのでこの作文を書いてみようと思いました。
 小学校の三、四年生までは毎年家族や友達と必ずと言っていいほど海に行って遊んでいたと思います。特に思い出深いものを2つ紹介します。
 一つ目は、家族とフェリーに乗って行ったキレイな海です。名前や場所は覚えていないのですが、魚やカニがいたり浅いところなら足元まで見えるほど透き通っていた海です。テントには母がいて父と兄と遠くまで泳ぎに行きました。これが最後に家族で泳いだ海だと思います。大きい貝がらや安全な岩場など一日中楽しめました。また行きたいです。
 二つ目は、幼なじみとバーベキューをした海です。この海では、バーベキューももちろん楽しかったのですがその場で仲良くしてくれた大学生くらいの二人組の方達とのことを思いだします。嫌な顔ひとつせず海の浅いところで遊んだり、砂浜でキャラクターを作ってくれたり最高に楽しかったです。私もあんなにフレンドリーで優しい人になりたいと思いました。
 あまり海に行かなくなって数年がたち私は中学生になりました。そこで私の知らなかった海の一面を発見しました。
 誰かと意見をあわせたり何かを断ったりすることがあまり得意ではない私は中学校の二年生の中盤あたりから学校を休むことが増えました。遅刻や早退も増え、学校に行った日でも帰ると疲れて何も手につかない状態がほとんどでした。そんな日々が続くことに滅入っていた私に海に行こうとさそってくれた人がいました。初めて冬に行くのと久しぶりの海に楽しみにしていました。
 海に着くと平日だったこともあり人がほとんどいませんでした。冬の海は予想以上に寒くて、夏に来たときよりもとても広く感じました。海の前にたつとモヤモヤして捻くれていた自分を受け入れてくれたような気がしました。それに自分が悩んでいたところは小さな世界でこの海を渡れば自分のことを何も知らない人だらけで何回でもやり直しがきくことを実感できました。海は傷をいやすことも思い出になることもできる。私は海のような大人になりたいと思いました。
 どんな自分で行っても馴染んでくれる海には私自身すごく助けられました。言葉を交わしたり目をあわせなくても、景色や音、雰囲気だけで人に安心感をあたえることができる海はすばらしいな、ありがたいなと思いました。
 最後に、海はいつの時代も誰かの特別になっていると思います。尊敬しているし、この先もずっと残っているといいなと思います。そのためにゴミ拾いやプラスチック問題など多くのことを解決し、未来の海に救われる方が今よりキレイな海を見れるように小さなことから頑張ろうと思いました。

2021年12月19日