佳作 海洋ごみの問題について

近畿大学附属和歌山中学校1年 花篤 月咲

 最近、テレビや新聞などで、ウミガメによる海中のプラスチックごみの誤飲、クジラが海岸に打ち上げられたなど、海洋の生物の被害をよく目にします。なぜこのように海の中の動物たちが被害にあっているのか疑問になりました。そこで、私は海の環境問題について調べました。
 まず、海洋中の生物たちへの被害のほとんどがプラスチックなどによる海洋ごみでした。このプラスチックの海洋ごみは国内外で問題になっています。この海洋ごみの八割は陸から流出していて、一度流出したごみは回収することは難しいのです。世界中で年間約八〇〇万トンものごみが流れているそうです。しかも、プラスチックは自然に完全に分解されることなく、ほぼ永久に残ります。薄いレジ袋でも二〇年、ペットボトルは四五〇年、漁網は六〇〇年もの間、海の中を漂い続けることになります。また、海岸へ漂着したごみを種類別に見ると、流木、ガラスや陶器、金属類が五%弱に対して、プラスチックが約八〇%と、圧倒的にプラスチックが多くなっています。生態系を含めた、海洋環境への影響はもちろんのこと、船舶航行への障害、観光・漁業への影響や、沿岸域居住環境にまで影響します。さらに近年、海岸中のマイクロプラスチック(サイズが五ミリメートル以下の微細なプラスチックごみのこと)が生態系に及ぼす影響が懸念されています。マイクロプラスチックは、PCB、ダイオキシン、DDTなど、残留性有機汚染物質(POPs)と呼ばれる海中の有害化学物質を取り込みやすいことがわかってきました。それを海の生物が誤飲してしまうと、炎症反応、摂食障害につながる場合があるとわかっています。また、食物連鎖を通じて、有害化学物質が生き物の体内に蓄積する可能性も懸念されています。つまり、私たちの体にも何年にも渡って有害物質が蓄積されることになります。
 今や、海洋プラスチックによる海洋汚染は地球規模で広がっていて、北極や南極でもマイクロプラスチックが観測されているそうです。このままだと二〇五〇年までに、海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過すると予測されました。
 この海洋プラスチックの問題に関して、国内はどのような動きをとっているかが気になりました。国内では漂流ごみ等の円滑な処理の推進や、3Rの推進等による海岸漂着物の発生抑制を行っており、また、都道府県や市町村等が実施する海洋ごみに関する地域計画の策定、海洋ごみの回収・処理、発生抑制対策に関する事業に対し、補助金による支援なども行っていました。また、国際動向では持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの一つとして、「二〇二五年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」が掲げられています。こうした「ごみ問題」に対しての国レベル、世界レベルの動向を見て私が考えたことは、海洋に先に住んでいた生物は人間ではありません。生物にとって母なる海であるように、人間にとっても海は生きていく上で欠かせません。人と海が共存していく方法を早期に見つけ、人類で共有し、全ての人類で守っていく必要があると考えます。
 中学生である私が出来ることは、わざわざ海にごみを拾いに行かなくても、もっと以前にフォーカスを当てることだと考えます。まず思い浮かぶことは、自分の家のごみをしっかり分別することですが、ごみのスタート、環境破壊のスタートは人の手によって始まっているのではないでしょうか。つまり、ごみの分別を見直す前に、「買う」ということも見直しが必要ではないかと思います。例えば二つしか必要ないのに、三つセットの方がセット値引きされている商品を買うと、不必要な物はごみになり得る可能性が出てきます。こうした消費活動の見直しはすぐに実行できることです。また、商品の外装がバイオマスの外装になっている物を選ぶ、過度な包装は避ける、といったこともごみの分別以前に見直すことができるはずです。
 夏休み中、人類の手により環境破壊が進み、海洋生物などが被害にあっていると知りました。世界はこれを改善しようとSDGsを掲げ取り組んでいます。世界が変わるには一人一人の力が必要だと思いました。自分に出来ることは身近にたくさんありました。
 海洋ごみについて考えてみましたが、ごみをどうすべきかということに焦点がいきすぎたように思います。問題を引き下がって見ることで環境を守る方法が増え、簡単になると感じました。こうして自分の考えを書き表すことも環境を守る行動だと思いました。深い学びとなる有意義な経験になりました。

2021年12月19日