佳作 危機迫る今の地球

高槻市立川西中学校3年 阿部 日菜子

 私は、海の問題について様々な本を読んだり、インターネットで調べたりして、初めて知ったことや非常に驚いたことが大きく二つありました。
 一つ目は、地球温暖化との関係です。地球温暖化は、人間がたくさんの化石燃料を使うことで発生した大量の温室効果ガス、つまり二酸化炭素により大気の温室効果が強まったことが原因です。実は、地球温暖化と海はとても深い関わりがあるのです。なぜなら、地球温暖化による気温上昇により海面が徐々に上がってきているからです。一見、海面が上昇する=海が広くなるなら魚は広々と泳ぐことができ、生きるための場所が増えて水中の生き物達にとって生きやすい環境になるように感じます。しかし、それは全く逆で世界中の生き物に悪い影響を及ぼすのです。
 オセアニア州にあるツバルという国は今、水没の危機に瀕しています。ツバルの海抜は最高5メートルです。日本の海抜は24メートルで日本の約5分の1です。すでに満潮の時は標高の低い地域で地面から溢れ出た海水の下に沈んでしまいます。水位は高い所で2メートル近くになるそうです。
 ツバルを水没の危機にさらすほどの大量の水は北極の氷が気温上昇によってとかされてできました。もともと北極は極寒の地域なので、ガスによって何十度も気温はあがらないだろうと思う人もいるでしょう。しかし、最近では北極の最高気温が日本の春頃と同じ二十度以上になったこともあるそうです。水の融点は0度なので0度以下に保たれないと、とけてしまいます。そのため、氷なんてあっという間にとけてしまうのです。北極の氷河がとけてしまうと、哺乳類であるホッキョクグマやアザラシは住める場所が減少してしまいます。それらは長時間の水中での生活は難しく、おぼれて死んでしまうのです。
 このような、地球温暖化による被害は日本でもおこっています。日本周辺の海では水温が上昇し、もともとその場所で生きていた海の生物達が今までの水温の海を求めて北上していき、魚がとれなくなっています。実際に、私の北海道に住んでいる祖父は趣味で、時期がくるとイカ釣り漁船にのってイカ釣りに行きますが、最近
「かなり沖まで行かないと全然とれない。」
と嘆いていました。それだけでなく、南の生物も北上してきて熱帯魚が入りこみ、あらゆるところで生態系が崩れています。今までいなかった外敵があらわれ、数を減らす生き物も少なくありません。例えば、サンゴの激減は水質による白化も関係ありますが、本来は熱帯の海にいるオニヒトデというヒトデが北上し生息域を変えたことによる食害が原因であることが多いのです。
 二つ目は、プラスチックとの関係です。プラスチックは、頑丈で軽く加工もしやすいので、奇跡の素材として大量生産されてきました。それらは、レジ袋、ストローや発泡スチロールなど使い捨ての物が多いです。プラスチック製品の多くは、利益を得るために人々がすぐいらなくなって捨てるようなデザインにわざと作られているそうです。そのため、捨てられたプラスチックは海に流れ、波によって分解され、マイクロプラスチックとなります。しかし、マイクロプラスチックになるまでペットボトルは四百年程、発泡スチロールは五十年と、とても長い年月がかかります。それで、分解しきっていないプラスチックは今も世界中の海を漂っています。しかし、分解されたからといってプラスチックが安全になるわけではありません。プラスチックは常に有毒なガスを出しています。それが動物の体内に入ると、ガンになりやすくなるなど、様々な被害が出やすくなります。もし、小魚がマイクロプラスチックを食べてしまうと、その小魚を中くらいの魚が食べ、その魚を大型の魚が食べ、それらの魚を人間が食べると知らないうちに私たちの体内にプラスチックの毒素が入ってしまいます。自分たちが捨てたゴミを自分たちで食べていることと同じになってしまいます。
 最近、国がレジ袋を有料化したので、今までは何となくエコバッグを持ち歩いていました。しかし、様々な本を読んで世界中のプラスチック問題を知り、予想以上にひどくかなりのショックを受けました。それで、今では意識的にエコバッグを持つようになり、出かけるどのバッグにも入れています。地球温暖化対策においても、エアコンは最低限にし、少し遠めの場に行く時も運動だと思って徒歩か自転車を使うようにしたいです。以前の私みたいに何となくエコ活動をしている人に今の地球の危機とその活動の意味を伝えていきたいです。

2021年12月19日