金賞 海の救世主

近畿大学附属和歌山中学校 1年 宮﨑 瑠生

 「なにこれ…」
私が見たのは、知らない海でした。
 私がまだ小さいときは、真っ赤な太陽に照らされてキラキラと輝く海でした。しかし、私が見たのは、今にもひきずりこまれるような真っ黒な海です。そして、魚に見えた影は私たちの世界にある「ゴミ」でした。なぜ、このような私の知らない海になってしまったのでしょうか。
 まず考えられるのは、「プラスチックの海ゴミ、生活用水・工業用水」この二つが考えられます。この二つの共通点になっているのは、人間が関わっていることです。人間がゴミを海に捨てることによって、海岸などにゴミが流れてきます。そして、人間が間違った方法で、生活用水を流しています。生活用水だけでなく、社会発展のため工場ができて、そこからたくさんの工業用水が流れてくるといった海に関わった問題が色々なところでおきています。
 まず、海に流れつくゴミで私が考える解決方法は、プラスチックに代わるものを使っていくということです。ですが、プラスチックをなくすことで、私たちの生活はとても不便になります。このことからわかることは、私達、人類がプラスチックに頼りすぎているということです。今では、プラスチックをなくす取り組みとして行われていることがたくさんあります。その一つとして、ゴミ袋の有料化です。昔、ゴミ袋は無料でしたが、今ではどこのスーパーに行っても、ゴミ袋が有料になっています。この取り組みをすることによって、エコバックを使う人が多くなります。しかし、本当にそれだけで、この海問題が解決できるのでしょうか。この取り組みに加えて工夫する必要があると思います。
 次に、生活用水・工業用水についてです。
私が考えることは、人間一人一人それぞれがこの問題についてしっかりと理解することです。私たちに身近な生活用水は、小さな取り組みでも解決することが出来ます。例えば、食べ残し、飲み残しといった食品ロスをなくすことや、油は吸収剤や新聞紙に吸わせて、可燃ごみとして捨てる、米のとぎ汁を再利用するなどとしたくさんの解決方法があります。しかし、これらの取り組みだけでは海をきれいな青い海にすることは出来ません。
 そこで活躍するのが『アマモ』です。
 まず、アマモについてです。アマモとは、春に花が咲き、夏には種を作るといった、陸上のイネに近い植物です。主に水深2~3mの緩やかな砂地に生えている海草で、草原のように広がって生息します。海草といっても、ワカメやコンブといった海藻ではありません。
 次に、アマモの役割についてです。アマモの草原を藻場といいます。藻場は、「海のゆりかご」ともよばれ、稚魚やエビ、カニなどの生き物の隠れ場になったり、産卵の場所になったりします。そして、海がきれいになることにつながる問題もアマモが解決してくれます。海水中の栄養塩を吸収して水質の悪化を防止します。栄養塩を吸収することによって、光合成をし、海中に酸素を供給します。
 アマモは、海の環境と海の生き物すべてを支える存在なのです。
 アマモの取り組みは日本各地で行われています。その一つが、私の母校でも行われているアマモ教育です。
 私の母校の小学校ではアマモと関わる取り組みをしています。アマモと共に成長していくように、時間をかけてアマモを育てています。実際に海の中に入って、冬にはアマモの種植えをし、育て、秋にはアマモの種を収穫しました。どちらも寒い時期だったので、海の中は凍りそうなくらい冷たかったです。けれど、やりがいがある取り組みでした。今でもこの体験は忘れられない思い出です。私達がこの取り組みをしたことで、海がきれいになったとするならば、この体験を誇りに思います。
 他にも「全国アマモサミット」があります。「全国アマモサミット」とは、アマモをキーワードとして、海の自然再生・保全をめざして毎年開催されている会議です。全国各地の海とその沿岸地域が抱える課題をテーマに、職業や立場、世代をこえて活動が行われています。
 海が汚れてしまった原因は、すべて人間が関わっているということです。そこで、この環境問題を解決してくれるのが、海を汚してしまった人間一人一人の取り組みと、『アマモ』の存在です。
 このように、全国、いや、全世界の学校、人々が海の環境問題に興味を持つことで、海は昔の輝きを取り戻すことが出来ると思います。私も、海の環境問題を解決する取り組みをしていこうと思います。

2022年12月09日