銀賞 海を守ろう 私たちと海の関係

桃山学院中学校 1年 仲野 晶惺

 皆さんは「海」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか。サンゴ礁の綺麗な海でしょうか、熱帯魚が住んでいる暖かい海でしょうか、それともアシカやラッコが住んでいる冷たい海でしょうか。挙げていくと様々な海があり、そこに暮らすそれぞれの生き物を取り巻く様々な環境問題があると思います。
 私は一番にイルカやクジラが住んでいる広大な海を思い浮かべました。なぜイルカやクジラを思い浮かべたかと言うと、イルカやクジラのいる、アドベンチャーワールドによく行っているからです。アドベンチャーワールドとは和歌山県白浜町にあり、動物園・水族館・遊園地の三つが融合するテーマパークです。
 そんなアドベンチャーワールドでは今、ジャイアントパンダのある行動が問題となっています。それは、ジャイアントパンダがとてもグルメで、竹や笹の葉が餌として与えられても半分以上は残してしまうことです。その量なんと、年間九十から百トンにのぼるそうです。それらのジャイアントパンダが食べ残した餌を使って何かに活用できないか考え、作られたのが、「パンダバンブープロジェクト」という取り組みだそうです。それにより、ジャイアントパンダの残した竹や笹の葉などの資源を有効に活用しています。
 先日、「パンダバンブープロジェクト」は、活動の一環として、ジャイアントパンダが食べ残した竹の枝葉を再使用し、アオリイカの産卵床の代用品を製作しました。そして、それを和歌山南漁業協同組合協力のもと、白浜町と共同で、地元和歌山・白浜の自然豊かな海の継承を目的に、白浜の海底へ設置しました。
 私はなぜアオリイカの産卵床を作ったのか興味を持ったので調べたところ、近年に起きている磯焼けが原因のようです。磯焼けとは海岸に生えているコンブやワカメなどの海藻が減少し、不毛の状態になることです。原因は海流の変化、ウニなどの藻食動物による食害、更には海岸の環境汚染による光合成作用の不活発など様々な説が挙げられています。これらのアオリイカを取り巻く環境の変化により、アオリイカが産卵するはずの海藻が減少しています。
 しかし、アオリイカは海藻だけでなく海底に沈んだ木にも産卵できることがわかっているそうです。これらのことからアドベンチャーワールドではアオリイカの産卵場所をジャイアントパンダが食べ残した竹を活用して作ることができるのではないかと試みていることが分かりました。更に、アドベンチャーワールド公式ホームページのトピックスを見ると、二〇二二年五月中旬に白浜海底へ設置された産卵床のモニタリングを続けたところ、七月十二日にアオリイカの産卵を確認することが出来たそうです。今後もモニタリングを続けハッチアウト(孵化)まで見守り、産卵孵化シーズンが終了する八月下旬まで効果を検証するとのことです。私はこの取り組みが無事成功し、今後も生態系を守り、食べ残しを有効活用出来る取り組みが続いてほしいと願っています。
 では、私たちが海のことで日頃から行うことができる取り組みは何だと思いますか。私はポイ捨てを減らすことだと思います。この前、学校行事のサマーキャンプで阿南国際海洋センターに行った時、最後にスタッフの方が海でのビニール袋のゴミやここ最近で増えてきたマスクのポイ捨てについて話してくださいました。私はその話を聞いて、ポイ捨てが海の環境を壊していることを再認識しました。また、ビニール袋をクラゲなどに見間違うことによりイルカなどの鯨類が誤って飲み込んでしまい、胃の中から出てきたことがあると言うニュースを見たことあるのを思い出しました。
 こうしたポイ捨てを少しでも減らすために、私たちができることは何でしょうか。結論として、私一人の力では残念ながら何も変えることができません。大事なのは、私たち一人一人がごみのポイ捨て問題について向き合い日々の行動を見つめなおして、意識を改革していくことが大切だと思います。
 そして、アドベンチャーワールドがプロジェクトとして環境保全に取り組んでいるのと同じように、私たちも、小さなことでもいいので海の環境を守る行動をしていけると良いと思っています。


2022年12月09日