佳作 魚のりレ-

高槻市立川西中学校2年 山本 源太

 「おいしい魚を食べるために必要な人は?」と問われると私が思い浮かべるのは、魚を釣ったり、罠などを使い実際に魚をとる『漁師』の方々です。しかし「魚をとったよ、食べてね。」とはいきません。国民全員が漁師ではないからです。しかし、ほとんどのスーパーには魚が並んでいます。その中には、生で食べることができる新鮮な魚もいます。
 では、なぜほとんどのスーパーに新鮮な魚が並ぶのかというと、「漁師さんがとった魚をスーパーに届けてくれる人達がいる」からです。つまり魚はリレーのバトンのように何人もの人を経由して、アンカーである『消費者』に届くというわけです。
 では、どんなランナーがいるのかというと、魚をとる『漁師』魚を仕分けして出荷する『港の卸売市場』魚を売る『スーパー』ランナー達の間をつなぐ『運搬業者』魚を食べる『消費者』です。
 こんなにもたくさんのランナーがいることにこのことを調べて知った時とても驚きました。私の好物はすしや焼き魚などの魚料理なので、魚料理を食べるためにはランナー達の苦労があったのだと知ると、魚をどこでも食べる事のできるこの環境のありがたみが分かりました。
 私がもっとも感謝しているランナーは、『消費者』もとい母です。これは、たくさんのランナーの存在を知る以前から変わりません。母は料理上手なので、いつもおいしい料理を作ってくれるため魚を好むきっかけとなりました。母の魚料理の中でも特に好きなものは、刺身です。
 その刺身について調べてみると、刺身を食べる国は、ほとんどありませんでした。これは、魚の鮮度を保つのが難しいからです。その面から見てみると、世界的に日本のランナーは優秀なんだと分かりました。「生魚を食べることができる」のは、日本の魅力なので、その魅力のもとになっていることからも、ありがたいなと、しみじみと感じます。
 そんな優秀なランナーが届ける魚なのですが私の世代では、苦手な人が多いです。「肉派ですか?魚派ですか?」と質問すれば。肉派が勝つと思います。それは給食を減らしている場面から予想できます。肉の給食が出た時は、減らす人は一人や二人くらいですが、魚の給食が出た時は、減らす人で行列ができます。それは小学生の時も中学生の今も変わりませんでした。ランナーの手間を考えるととてももったいない事だなと思います。
 その理由は、幼少期の味覚が繊細な時に、大きくなって感じなくなる魚の生臭さを感じ、魚は生臭いという思い込みをしているからだと考えられます。実際魚が苦手な友人に聞いてみると「生臭さを感じる」と言っていました。私は生臭さを感じなかったため、思い込みが魚が苦手になる要因の一つだと分かりました。
 そんな魚についてなのですが、近年生息数減ってきています。養殖の魚に関しては、大して問題ないのですが天然の魚の不漁が問題になっています。特に今年のサンマはいい例です。つい最近までサンマはだいたいが一〇〇円以下でしたが今年はよく二〇〇円くらいするサンマが見られます。年によって不漁になることもありますが、今年は異常です。その原因は、やはり地球温暖化や、人の立ちふるまいだと思います。近年の気象は異常ですし、近い未来プラスチックゴミが魚の量を超えるともいわれています。その影響は、魚にも出ており、SDGsの課題にもなっています。
 私達の食卓に並んでいる魚は、リレーのバトンのように多くの人の手を渡り、とても新鮮な状態で届けられているということが分かり食事をする際の「いただきます」は、もともと食材に対して言っていたのですが、今はランナー達に対する「ありがとう」の意味も込めて「いただきます」と言うようになりました。
 本当にありがとうございますランナーの方々。


2022年12月09日