佳作 海の底のペットボトル

近畿大学附属和歌山中学校1年 本間 光

 二年前の夏、家族で和歌山県の串本町に旅行に行った。本州最南端に位置する串本の海は、全国からダイバーが訪れるダイビングスポットだけあって透明度が非常に高く、想像していた以上にすごくきれいで、ビーチからのシュノーケリングでもハリセンボンや石鯛、キラキラしたブルーやオレンジ色の熱帯魚など、とても多くの種類の魚の泳いでいる姿を見ることができた。しかし、そんな綺麗な串本の海の底にもゴミは落ちていた。僕はそのゴミを見た時ふと思った。前にポイ捨てしてしまったペットボトルがここに流れ着いたのではないかと。そんなことは絶対にありえないけど、あの時のペットボトルは、どこかにまだ残っているだろう。僕がしてしまったその行為が環境汚染につながっていると思うと、何だか胸がチクチクした。だから、僕は海洋ごみの大半を占めているプラスチックのことを調べたいと思った。
 改めて身の回りを見渡してみると、僕たちは多くのプラスチックに囲まれた中で暮らしている。例えば、ペットボトルの容器やキャップ、洗剤が入っている容器、レジ袋、スナック菓子の袋など、ほかにもたくさん使われている。プラスチックは加工が簡単で安くて便利なので、たくさんの場所、企業、人々が使っているので、完全にプラスチックをなくすということは難しいのかも知れないけれど、このまま放置していたら大変なことになりそうだ。
 プラスチックがどんどん消費されると、海に流れつくものが増える。海に流れ着いたプラスチックは、波に打たれ、紫外線にさらされ、少しずつ小さく砕けていく。五ミリメートル以下までの小さな破片になるとマイクロプラスチックと呼ばれ、それを魚がえさと一緒に食べる。その魚を僕たち人間が食べる。結局ごみを出した人間の僕たちにかえってくる仕組みになっている。そして健康被害を及ぼす。これを防ぐにはどうしたら良いのか。さっきも言った通り、プラスチックを全く使わないということが出来ないのなら、せめて減らす方向で考えていきたいと思う。
 私たちにできる範囲の減らすというのは具体的にどうすることなのか。例えば過剰な包装をしない、レジ袋を買わない、使い捨てのものはできるだけ使わないなどだ。その他にもまだいろいろできることはある。
でも、なかには「きちんとごみ箱に捨てれば環境汚染にならないから、プラスチックを使っても良いのではないか?」と思う人がいるだろう。もちろん、回収ペットボトルのように捨てたゴミがきちんとリサイクルされていれば環境汚染にはならないが、まだまだ多くのプラスチックゴミは焼却処理されている。プラスチックゴミを「燃やす」ことで二酸化炭素を排出して地球温暖化につながる。地球温暖化がもたらす海面上昇によって、多くの国土が消失すると言われている。実際に、九つの環礁島からなるポリネシア最西端の国ツバルは、約一万人が暮らす小さな国だが、海面上昇により国ごと沈んでしまう可能性が高くなってきた。二〇〇三年には高波により海岸地域一帯の農園がたいへんな被害にあった。その後も、しばしば干ばつが起きて、三ヶ月も続き、塩害で栽培できる農作物が減っている。また地下水の塩分濃度も上昇し、飲料水の主な水源のひとつを失った。これは、ツバルだけの問題だけではない。このままでは、日本はもちろん、多くの国の国土が失われる。海洋汚染、地球温暖化のどちらにもプラスチックゴミ問題が関わってくるので放っておけない。
 大手企業のスターバックスやIKEAなどは、プラスチック削減のためにいろいろな協力をしている。大手企業が協力するほど、プラスチックは問題とされているのだ。
 僕はこのいろいろな問題、取り組みを知って、将来はコストがかからず環境汚染にもつながらないプラスチックを開発して世界に普及させたいと思っている。


2022年12月09日