佳作 「釣りごみ問題」

近畿大学附属和歌山中学校1年 田倉 佑雅

 僕は、お父さんとよく釣りに行きます。その際、海や川で水面にごみが浮いていたり、釣り針にごみがひっかかることがあります。そこで、僕は、なぜこんなにごみがあるのかと思い、調べることにしました。
 今、世界中で海洋ごみが問題になっています。その中でも、僕は、釣りが原因とみられる海洋ごみについて、調べることにしました。釣りによる水中ごみは、主に、釣り糸、オモリ、ルアー、釣り用具やエサの包装容器です。
 釣り糸には、主に、ナイロンやポリエチレンといった化学繊維が使われています。もともとは、麻や絹といった天然素材が主でしたが、1950年代頃から化学繊維が広く普及したことによって、釣り具業界でも化学繊維が取り入れられるようになりました。化学繊維はその強度の高さと価格面の優秀さから重宝されました。また、釣り人からも天然素材の釣り糸に比べて大物が釣れると人気が出ました。しかし、化学繊維は天然素材と違って自然界に分解されないため、水中生物やそれを食べようとした鳥などにけがを負わせたり、誤って呑み込んでしまい窒息死してしまう場合もあります。
 オモリの主原料として使われている鉛は、加工がしやすく、高比重であることから、昔からオモリ作りの際に重宝されてきました。しかし、鉛は生物にとって、有害な物質です。鉛は水中で溶け出さないものと考えられていましたが、溶け出さなくても岩などぶつかって細かくなり、水中生物に取り込まれ、それを食べている鳥や人にも取り込まれている可能性があります。
 ルアーは、小魚に似せたミノーやオモリと同じ鉛を使ったメタルジグというものなどがありますが、その中でも、僕は水中で滑らかな動きをするワームというルアーを調べました。ワームとは、軟質のプラスティックが主原料として使われており、それが水中環境を汚染する一因となっています。釣り糸と同様に、プラスティックは化学繊維であるため、自然に分解されず、そのまま堆積してしまいます。
 釣り用具やエサの包装容器は、最も問題となっています。これらもビニールやプラスティックから作られているため、やはり自然に分解されることはありません。また、小さく砕けることでマイクロプラスティック問題を引き起こします。釣り糸やルアーは直接釣りに関わるものなので、自然に返るような素材で作られたものへの移行が多少進んでいますが、釣りに直接関わらないこれらは、なかなか移行が進んでいません。包装容器のごみを残さないために、ごみは持ち帰ることはもちろん、風で飛ばないようにするなどし、しっかり対策をとることが大切です。
 僕も、自分の出したごみ以外にも、落ちているごみを拾って帰ろうとしますが、お父さんが心配します。なぜなら、今はコロナ禍なので、誰のものかわからないごみを拾うことに不安があるからです。自然を大切にしながら、守っていくために、僕にできることを探していきたいと思います。


2022年12月09日