佳作 捕鯨問題in日本

高槻中学校 2年 村井 瞭介

あなたは、捕鯨についてどう思いますか?賛成ですか、反対ですか。
 今年の七月、日本は三十一年ぶりに商業捕鯨を再開しました。そのことで今、日本は世界中から非難を浴びています。なぜ日本の捕鯨はこれほど世界から批判されるのでしょうか。
 まずは、動物愛護の面から考えたいと思います。二十世紀前半、鯨は食糧確保のためではなく燃料目的で捕獲されていました。そのためシロナガスクジラなどの大型種が激減していきました。危機感を募らせた捕鯨国は、クジラ資源の保存および捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として、国際捕鯨委員会(IWC)を設立しました。こうして一九六十年頃に減少種の捕鯨禁止措置を実施した結果、当時の主要捕鯨国は商業捕鯨の収支のバランスを崩し、捕鯨産業から撤退していったのです。
 またこの頃、動物愛護の風潮も広まったため、IWCは商業捕鯨モラトリアム(捕鯨国が商業捕鯨を一時停止する事)を可決しました。これにより一気に日本が非難されるようになったのです。捕鯨に強いこだわりを持つ日本は、結果的にその後IWCを脱退せざるを得なくなります。
 では、これからも鯨料理を食べることは出来るのでしょうか。鯨の食文化への観点から見ていきましょう。二千十九年六月に日本がIWCを脱退した際に、農林水産大臣は「鯨は日本の食文化に根付いている。」と発言しました。実際、四十年前の給食では、頻繁に鯨を使った料理が出ていたそうです。しかし実際のところ、鯨を食べていた人達の当時の鯨料理への印象はあまり良いものではありませんでした。また現代においても、風味豊かな牛肉や豚肉を食べ慣れた若い世代にとっては「鯨肉は硬くて味気がない」という印象を持たれていて、鯨が日本の食文化に根付いているとはとても言えない状況にあります。僕は、政府と国民の捕鯨への姿勢が少しずれているように感じます。
 しかし、海洋バランスを軸にして考えると、捕鯨に賛同できるところも多くあります。世界の人口は、二千五十年には約九十億人に達すると言われています。畜肉消費量が増え続ける一方で、穀物の栽培面積は減少し続けており、畜肉のための穀物生産に限界が見えてきました。食糧確保の観点からも水産資源の活用が重要視されていますが、その中でも鯨肉は大変有効な役割を果たすと言えるのです。
 二十世紀前半に燃料資源として捕獲し過ぎたために激減した大型種に対し、保護された小型種はどんどんと増えていきました。その小型種は素早く泳ぎまわり、鯨達の好む海洋生物を食べつくしていきます。そのため、本来増えてほしい大型種が減少の一途をたどっているのです。その対策としても、小型種を適度に捕獲し、海洋の食物連鎖のバランスを調整することが海にとっても人にとってもプラスになるという考えもあります。
 また、ある種の鯨が今問題視されています。人間の約三倍から五倍の水産資源を食べているというのです。しかもこの種は個体数が年間四~五パーセントずつ増えていっているそうで、海の食用資源が減っていく可能性があります。もちろん人間だけの問題ではなく、海の中にも問題が生じます。増えすぎや種が海洋の生態系バランスや食物連鎖のバランスを崩していくのです。この問題を解決するためにも、捕鯨は必要だと言えます。
 これらのことから、捕鯨に賛同している国はそれなりの根拠を持っていることが分かります。この考えを聞くと、捕鯨に賛同したくなります。
 一方で、こんな考え方もあります。鯨は知的な動物なので、殺したり食べたりするのは残虐であるという意見や、鯨は絶滅しやすいので、保護すべきであるなどという意見です。確かにこれは考慮しなければいけません。ですが、一言で鯨と言っても、様々な種類がいます。ミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ、ナガスクジラなどです。日本はこれらの種類を捕る際に、それぞれの種を枯渇させない程度に捕獲数を調節することを基本方針としているため、絶滅の心配はないそうです。中でも、絶滅危惧種であるシロナガスクジラなどの大型種は積極的に保護しているため、「鯨が絶滅するかもしれない」という理由で捕鯨に反対するのはあまり意味がないように思います。
 これらのことを踏まえて僕は、捕鯨は大型種をターゲットにせず、小型種に狙いを定めて捕獲することによって、メリットが増え、海洋にも人間にもいい影響を及ぼすと考えます。
 ですが、残念ながら前途したように僕たちの生活にはまだ鯨肉は定着していません。捕鯨に携わっていない人達には鯨肉は美味しくないと思っている人が多いようですが、そうでもありません。僕は小学校の給食で鯨のこはく揚げという料理を食べていました。それは学校の生徒から大人気のメニューで、僕も大好きでした。つまり、料理の仕方を工夫すれば美味しくなるはずなのです。小学校を卒業して以来、僕はこはく揚げを食べたことがありません。政府はもっと小型種の鯨肉を流通させてほしいし、捕鯨に携わる人たちには、簡単で美味しい調理方法を世の中にもっと知らせてほしいと思います。
(参考文献)
・捕るか護るか?鯨の問題、・クジラと日本人、・世界クジラ戦争

2019年12月01日