佳作 沖縄の海で

吹田市立第一中学校 3年 松下 一太

 夏にあった修学旅行で私は、沖縄の海を見ました。民泊の人に連れられて、見えた海の水平線を境に上下に広がる青のグラデーションがたまらなく美しく私はしばし立ち止まり、そんな海を見つめていました。友達の呼ぶ声に我に返った私は、急いで友達の所にかけよりました。
 次に私が発見したのは、様々ないきもの達でした。友達の視線をたどっていくとそこには巨大ななまこがいました。軽く六十センチメートルを超えるような、そのなまこは黒くくねくねと曲がりながら岩に沿うようにして私の足下にいました。私はそれに気がついていなかったので発見すると同時に跳び上がりました。潮だまりのようなその地形には、よく目を凝らすと巨大な、なまこ以外にも青く小さな熱帯魚のような魚や貝がらのない軟体貝などたくさんのいきものたちであふれていました。特に注目したのはある奇妙な生物でした。それは、薄くてピンク色の絆創膏みたいなものの中心に細長い突起がついていて、そこを中心に波打つように体をくねらせながら進む未知の生物でした。私はそれを新種かもしれないと思い写真をたくさん撮ったのですがその晩、民泊の人に話すとそれが新種ではなくウミウシだということが分かりました。しかし、発見した時は本当に新種かもしれないと友達と大騒ぎしました。
 夜の海は、昼間とは違い、真っ暗闇で音はなく、万物が寝静まってしまったようでした。それでもいきものの気配を感じて月の光と闇に慣れつつある目でよく周りを見ていると、岩のすき間に二つ光が見えました。二つ見えるとまた二つ、四つと次々と光が見え、もはやそこは暗闇ではなくなりました。それはまるで地の星の様に空の星と一緒に私達を照らしているようでした。民泊の人はその光がエビの目だと教えてくれました。そのエビの目の星たちに見送られながら夜の海をあとにしました。
 帰り道の途中、私達の前に私の手のひらほどの大きさをしたカニが立ちはだかりました。出会い頭にそのカニと目が合ってしまった私はなんとも気まずい気分になり、とりあえず会釈してみるとカニに威嚇されてしまいました。いきなり馴れ馴れしすぎたのかもしれません。とにかく私達にとって道路を歩くカニはとても珍しかったのでしばらくカニと戯れたあと記念撮影もしました。
 この夏の思い出はきっと一生ものになるでしょう。私の家の近くの海では今回のような体験はできませんし、なによりその体験を親しい友人達とできたのですから。

2019年12月01日