佳作 深海の研究者から学ぶこととは

大阪市立堀江中学校 1年 友光 こより

 私は三大洋の一つ、太平洋について書きます。日本列島も直接面している世界最大の海、それが太平洋です。
 海はとても大きく広がっています。それは縦と横だけではなく、下にも広がっていて、そこにはまっ暗な世界が広がっているのでしょう。みなさんは太平洋の深層はどうなっているのか想像することはできますか?
 太平洋の深海を研究する人たちはきっと、「深海にはどんな景色があるのか知りたい。」
 と思って、今までの様々な挑戦をしているのだと思います。簡単に見ることのできない事実を求めて、研究者たちはどれほど強く、興味や関心を抱いたのでしょうか。その興味や関心を生むのは、誰も知らない魅力あふれる世界が深い海の底に広がっているからだろうと私は思います。人間が心の底から
 「知りたい。」
 と思い、好奇心をはたらかせることによって、自らの足だけでは到達できない世界を見ることができると思うと、とてもわくわくしました。
 けれども好奇心をはたらかせるだけでは、その世界を見ることはできないと思います。やはり、一度決めたらやりとおす根気と、努力が必要だったと思います。それは研究に限らず何をするにしても大切なことです。太平洋について調べているうちに人間のムゲンの可能性と偉大さに気づくことができました。
 深海を観察するために、潜水船や潜水球を使い研究した研究者たちを調べていて、人間の技術はすごいなと思いました。たくさんの偉大な研究者たちの発想はとても面白く、感動する部分も多くありました。
 深海を見るために命がけの冒険をした、ウィリアムビービの挑戦には特に感動しました。ウィリアムは深海に住む生物を自分の目で見て観察したいという強い思いから、水深二千数百メートルまで潜水できる耐圧潜水球を作って深海の観察に挑みました。その潜水球はワイヤーロープで吊り下げさせたもので、万が一ロープが切れれば死を待つしかない、文字どおり、命がけの冒険です。それを7回もくり返したのです。ウィリアムの勇敢さにはとても尊敬しました。耐圧潜水球を作製するためのアイディアや実行力も必要だったと思います。命がけの冒険に挑んだ偉大な研究者、ウィリアムビービのその勇気ある行動には心を打たれました。
 宇宙飛行士が五百五十人を数えるこの時代。しかし一万メートル超の海溝底に到達したのは、3人だけです。それほど深海の世界は謎であり、今でも情報はそこまで多くはないということです。分からないことばかりの海に挑戦を続ける研究者たちの姿は、格好良く、輝いているのだろうと思います。
 素晴らしい一面を持つ一方で、環境を悪化させ海を汚し、生き物を減らしてしまっている人間の姿も見られます。環境が汚染されることによって水深一万メートルを超える深海にまで有害な物質が広がり、生き物たちが苦しんでいるのです。たとえどれだけ研究が進み、深海のことが分かっても、海が死んでしまったら何も意味がないと思います。生き物を守り、海のきれいを保つことによって、今までの研究結果が生かされ、人間の努力がむくわれるのではないでしょうか。人間による環境破壊を少なくするために、私たちにできることはいくらでもあると思います。一人一人ができることを一生懸命すれば、きっと海や生き物が苦しむことも少なくなると思います。
 私が太平洋に関わった研究者について調べて、人間が地球に誕生した意味とは、何なのだろうかと考えました。私はこう思います。それは神様すらも見たことがない未知の世界を探し出し、冒険し、研究することによって、世界を発展させることだ。それにより、高度な技術が生まれ、文化が生まれ、新たな生命が生まれる。それが神様が人間を生んだ理由でもあり、自然が大切な意味でもある、と私は思います。技術を得るためには、自然から学ぶことも大切だと思います。その大切な自然を傷つけたりしてはいけません。
 私たちが大好きな海。真っ青で広く美しい海にはたくさんの魅力があり、その魅力に、人はひきつけられます。海の魅力を知ることこそが私たち人間にあたえられた使命なのです。私たちは海のことをもっと理解しなければなりません。しかし、魅力をいくら知っても海を汚してしまっては何の意味もありません。これからは、研究者たちから学んだ、
 「根気」
 「努力」
 「勇気」
 の3つを心がけ、日々を過ごすのと同時に、海の奥底まで目を配り、海を大切にしていきたいと思います。

2019年12月01日