佳作 海洋汚染について

高槻市立川西中学校 3年 石田 真帆

 私たちが今住んでいるこの「地球」は数ある太陽系の中で唯一海を持っている惑星だ。地球以外の惑星にも、一応水が存在している惑星はあるが、そのほとんどが氷の状態だそうだ。
 そんな「海」を持っている地球は特別だ。そして、そんな特別な地球に住んでいる私たち。私たちはどこからやってきたのだろうか。答えは海だ。私たちは海からきたのだ。
 地球が誕生してから約四十六億年。生まれたばかりの地球では、岩石が溶けたマグマの海が地表を覆っていた。やがて地球全体が大雨の時代となり、現在の海のもととなる原始の海が生まれた。原始の海は雨にとけた塩酸なども流れこんだため、はじめはとても生物の住める環境ではなかった。しかしその後、地表のカルシウム、鉄、ナトリウムなどをだんだんとかし、現在のような海水になっていった。そんな中、海には生命が誕生した。その生命体が進化し、海の中で酸素をつくりだした。その酸素が地球の大気組成をも変化させていき、ついに生命は水中から陸上へと進出していった。
 もし、地球に海がなかったとしたら。酸素を作り出した生命体は生まれなかっただろう。もちろん、酸素がないのなら、酸素を必要とする生命体は生まれない。一部に酸素を必要としない生命体もいるが、それらは単細胞生物であり、多細胞生物ではない。ということは、地球上に海がなかった場合、私たちを含め、ほとんどの生命体は誕生していなかっただろう。生命の始まりは、海なのだ。母なる海と呼ばれるのはそういうことなのだ。
 そんな大いなる海は私たちの生活に欠かせないものだ。実は、酸素は海の中でも光合成によって作られているのだ。なんとその量は地球上の酸素の約三分の二。それに海がなければ私たちが普段口にしている魚や海藻、塩も手に入らない。
 しかし、そんな海は、ほかでもない私たちのせいで今、様々な問題を抱えている。
 そのうちの一つが「海洋汚染」だ。海洋汚染とは、海域や海水が人間の活動によって排出された物質で汚染されることを言う。汚染には、ごみや産業廃棄物が捨てられたり、船の事故などで石油が流れ出すといった一時的なものと、工場や家庭からの排水、河川や大気から農薬などの化学物質が流れこんでしまうといった慢性的なものとがある。この海洋汚染は海の生物や、海鳥たちだけでなく、私たち人間にも害を及ぼしているのだ。というのも、海にそそぐ有害な化学物質は、食物連鎖をとおして濃縮されながら、生物の体内に蓄積されていく。そのため、生態系のピラミッドのトップにいるものほど、つまり人間ほど、高濃度の有害物質を取りこむことになる。そうなると、人間は自分達の手によって自分達の体に有害な物質を入れようとしている、ということになるのではないだろうか。海とそこにいる生物、そして自分達をも危険にさらす「海洋汚染」は、とても深刻な問題であるということがわかる。
 先ほどの海洋汚染だが、最近よく見るのが海洋プラスチック問題についてだ。私たちの生活のあらゆる場面で利用されているといっても過言ではないプラスチック。しかし、プラスチックの多くは「使い捨て」されており、利用後、きちんと処理されず、環境中に流出してしまうことも少なくない。そして環境中に流出したプラスチックのほとんどが最終的に行きつく場所が「海」だ。プラスチックごみは、河川などから海へと流れこむためだ。既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で一億五千万トン。そこへ少なくとも年間八百万トンが、新たに流出していると推定されている。その海洋ごみの影響により、少なくとも約七百種類もの生物が傷つけられたり死んだりしているなか、このうちの九十二パーセントがプラスチックの影響によるものだそうだ。一度放出されたプラスチックごみは容易には自然分解されず、多くが数百年間もの間、残り続ける。これらのプラスチックごみの多くは、海岸での波や紫外線等の影響を受けるなどして、小さなプラスチックの粒子となり、世界中の海中や海底に存在している。五ミリ以下になったプラスチックは既に世界中の海洋生態系に取りこまれているという。また、二〇五〇年にはプラスチック生産量はさらに約四倍となり、「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」というような予測も発表されている。
 海を汚染してしまったのは私たち、人間だ。また、海からごみを消していくことができるのも、私たち人間なのだ。これは私たちが努力するべき問題の一つだ。そして、私たちは守っていかなければならない。あの美しい海を、生き物たちを。

2019年12月01日