佳作 海へ行こう

近畿大学附属中学校 2年 宮垣 昂司

 みなさん、海は好きですか?
 私は海が大好きです。丹後半島にある琴引浜へ年に何度か家族で訪れます。
 海の魅力の一つは風です。潮の匂いをたくさん含んだ都会では絶対に味わうことのできない風です。海が近づいてくるとエアコンをオフにして車の窓を開けます。磯の香りが窓から入ってきて、海がもうすぐそこだとワクワクしてきます。
 いつも到着は夜明け前です。あたりがしーんと静まりかえる中、寄せては返す波の音だけが浜辺に響きます。少しずつ山端に沿って光が差し込み、夜が静かに白々と明け始めます。ひんやりとした磯の香りのする風、少し湿って冷たい砂。夜明けの海は地球と一体化した様な何ともいえない感覚になります。小さな自分の存在も自然の一部なんだと感じます。
 しばらくすると、水平線に神々しく輝いた太陽が昇り、海は生き生きと動き出します。
 海面はキラキラとまぶしく輝き、砂が温もりを増していく頃、海は手招きするように波を立て、早くおいでよと私を誘います。
 海で遊ぶ楽しさを知っていますか?
 波打ち際の波乗りは最高です。力強い波を見つけ、タイミングを見計らって乗り込むとすごい速さで押されます。その時私の体と波が一体化します。自分が波の目線で遊ぶことができるのでとても楽しいです。
 海の中は別世界が広がります。あちらこちらにきれいな魚達、大きな鯛なども見ることができます。岩場や海藻のはえている所がポイントです。
 浮き輪は海水浴には欠かせません。ユラユラと揺れながら浮かぶのは最高です。スリルを楽しみたい時は、浮き輪をつけて波乗りです。とっても速いのでひっくり返らない様に注意です。
 泳いだ後は磯遊びです。ヤドカリやカニ、小さな魚に出会えます。夢中になるので夏は背中の日焼けに要注意です。
 海はたくさんの表情を持っています。穏やかで何もかも包み込んでくれる優しい海。荒々しく力強い自然の厳しさを感じさせられる海。訪れる度、色々な表情の海に出会えます。同じ場所なのに景色は常に異なり地球が生きている事を感じます。
 たくさん遊んで浜辺で一眠り。目が覚めるといつの間にか太陽が傾き、風の雰囲気が変化します。
 日没の太陽は夜明けと違い少しピンクがかった赤色でとても美しいです。周りの雲はどんどん色や形を変えていきます。太陽が海と重なり、浜に向かってとてもきれいな光の一本道ができます。私は思わず写真を撮りました。深い色の海に太陽の宝石のような輝きがちらばり、その美しさに息をのみます。太陽が地平線に沈むと海はだんだん黒くなり、浜辺に静寂が訪れます。波の音が静かに子守歌のように浜辺に響き海の一日が幕を下ろします。
 海は神秘的です。波は途切れることなく、休むことなくやってきます。大きく、激しくまた優しく穏やかにたくさんの変化をしながら波はどこから来るのでしょう。
 空の青と海の青が重なった美しい地平線の彼方には何も見えないけれど遠い異国の浜辺につながっているのです。
 みなさんも琴引浜に来ませんか。
 砂がとてもきれいで歩くとキュッキュッと音がします。浜辺には水着のまま入る温泉があり、つかると塩気が嘘のように消えてさっぱりし、肌がツルツルになります。温泉で温まったらまた海に入ります。私は先日、ボラの大群を見つけました。大群での食事タイムはめったに見られない光景で感動しました。琴引浜は透明度が高く海の底までもよく見えます。海底の砂は波の影響で色々な模様を作っています。波はすぐれたデザイナーです。
 藻の間でゆらゆらとゆれてゆっくり食事を楽しんでいる魚もいれば、すごいスピードで横切っていく魚もいます。閉館時間のない水族館なのでいつまでも楽しむことができます。
 海の魅力はまだまだたくさんあります。
 海に行きたくなりませんか?
 今、プラスチックゴミなどの自然環境問題をはじめ人類は海に対してたくさんの問題を抱えています。空調の効いた部屋で机の上で対策を練るのではなく海に行きませんか。海に行けば全身で海の自然を感じ大切にしたいと思います。みんなが海を大切にする気持ちを持てばきっと環境は守られるでしょう。
 さぁ、あなたもスマホばかり見ていないで海に出かけませんか?

2019年12月01日