銅賞 父母ヶ浜

帝塚山中学校 2年 村井 千紗

 私は小学六年生の頃、世界遺産が好きになり、できるだけたくさんの世界遺産を巡りたいと思っていました。特に行ってみたいと思う場所が十ヶ所ほどあり、ボリビアのアルティプラノ高原にあるウユニ塩湖もその一つでした。ウユニ塩湖とは、標高約3700mのところにあり、「世界で最も平らな場所」と言われています。そのため、降った雨が流れることなく大地に薄く膜を張ることで、空を湖面に映し出す「天空の鏡」と呼ばれる神秘的な絶景が見れます。そんなウユニ塩湖が日本にもあるとテレビで見かけました。それは香川県にある「父母ヶ浜」という海水浴場です。今年は香川に里帰りするという予定もあり、丁度よいということで父母ヶ浜に行くことになりました。
 香川に着いてから、伯父に父母ヶ浜の事について話を聞いてみると、
「地元の人にとっては何とも思っていなかったところが、急に有名になって、周りに建物が増えた。」
と言っていました。
 実際に行ってみると、思っていたよりもとても綺麗でした。何年か前にも香川の別の海水浴場に行ったことがあるのですが、ゴミや海藻が落ちていて、砂の上を歩くと痛かったという記憶があります。けれど、父母ヶ浜にはゴミや海藻が一切落ちておらず、砂がとても綺麗でした。砂浜には潮だまりがあり小さな魚も泳いでいました。父母ヶ浜は瀬戸内海にあるため、外洋からの大きなうねりの影響を受けず、水深が浅く障害物となる島や岩礁が多いためとても波がおだやかでした。海の中に入ると、奥の方までとても浅くて驚きました。調べてみると遠浅の海が約一キロメートルも続いているそうです。また、父母ヶ浜の夕陽は「日本の夕陽百選」にも選ばれているそうです。
 次に、父母ヶ浜に対する私の意見を述べようと思います。
 一つ目はゴミについてです。父母ヶ浜には一つもゴミが落ちていませんでした。ポイ捨てをしないということは当たり前のことなのですが、私の行ったことがある海のほとんどの場所でゴミが落ちていました。だから、なぜ父母ヶ浜にはゴミがなかったのか自分なりに考えてみました。まずは、綺麗な写真を撮れるというのが売りなので、清掃がしっかりされているということ。次に、「リスキーシフト」という心理学です。「リスキーシフト」とは集団行為が起こす極端な心理傾向のことです。つまりポイ捨てする人の心理には、
「周りがやっているから自分もやっていい。」という本音があるからです。ゴミが一つもないと
「誰もゴミを捨てていないからやめておこう。」という気持ちになり、ゴミを捨てる人がいないということです。だから、一番最初にゴミを捨てた人によってその場所が綺麗な場所であり続けるということが変わると私は思いました。
 二つ目は、なぜ急に人気が出てきたのかということです。私はインスタグラムが関係していると思います。父母ヶ浜に来ている人は若い人がとても多かった印象があります。やはり「インスタ映え」かなと私は思いました。SNSを通じてたくさんの人がいろいろな情報を共有できるのはとてもよいことだと思います。SNSのおかげで有名になった観光場所も少なくないと思うからです。これからもいろんな知られていない絶景スポットがどんどん有名になっていけばなと思います。
 私は、SNSを通じて「ポイ捨てをやめよう」「〇〇海のゴミを綺麗にしよう」などの広告が増えて少しでも海のゴミが減るといいなと思います。世界中では年間800万トンの海洋ごみが発生しています。その中でも、ペットボトルやレジ袋などが八割を占めているそうです。このゴミがいつかなくなるように、一人一人が協力してゴミを減らす取り組みをしなければならないと思います。

2019年12月01日