銅賞 海とわたしたちの生活

帝塚山中学校 1年 山形 紗永

 私は奈良県という海に面していない県に住んでいます。だから、海とは毎日見たり、過ごしたりするものではありません。でも、祖父母の家の近くには海があって、海水浴や潮干狩りに行ったこともありますし、家族では夏に海水浴に行ったことや、父と海に釣りに行くこともあります。このように毎日は接していないけれど、時々目にする海のほかに、私の毎日の生活に見えないところで関わっている海もあります。
 大きく分けると、「見える海」と「見えない海」について、私の思っていることを書きたいと思います。
 まず、見える海ですが、今までに行ったことのある海で、きれいだと思ったのは、和歌山の串本や京都の丹後半島の透明度の高い海です。これらの場所はいずれも都会から離れているので、ゴミや生活排水によって汚染されることが少ないのだと思います。普通、海の色は何色?と聞かれたら、「青」または「ブルー」と答えると思いますが、このような色が実際に見られるのは、都会から一定の距離が離れたところです。このような海でも、よく見ると海岸には流木やゴミがないわけではありません。完璧にきれいな海は日本にはもうないのだと思います。
 世界中では完璧にきれいな海があるかというと、残念ながらすでにもうないと思います。最近ではプラスチックゴミが世界の海を汚染している話を聞いたことがあります。スターバックスなどがストローをプラスチックから切り替えたり、環境を意識した取り組みが始まっているようですが、プラスチックは細かくしても分解されないようで、いつまでもゴミとして残り続けるという問題があるようです。そんなプラスチックも私達の日々の生活には欠かせないものだから、海をきれいにするから、明日からプラスチックは使わないと割り切れるものでもありません。使ったプラスチックが海に汚染するゴミにならないよう、適切に処分するところへ持っていく。つまり、ゴミの分別を徹底することが海をきれいに守ることにつながるのだと思います。
 次に、見えない海についてですが、私達の生活と海とのかかわりを考えたいと思います。日本の輸入総額は約82兆円でそのうちの最大が原油などの油で約10%を占めています。その次が天然ガスで約6%、第3位が衣料品の4%です。衣料品に絞ってみると82兆円の4%だから約3兆円分が海外から輸入されています。日本の人口は約1億2600万人なので、1人当たり約23000円の衣料品を輸入しているのです。私はそんなに買っているつもりはないですが、普段着にしている服を見ると東南アジアや南米の国々からの輸入品もよくあります。これらを含め82兆円の大部分が海上交通により輸入されています。海上交通の安全と安定した物の流れがなければ、私達の生活は支えられないのです。
 今、中東では海上交通の安全性が確保できない危機があるかもしれないと言われています。ここで海上交通が止まれば、日本の輸入量の約10%を占めている石油の輸入が難しくなります。石油はあらゆる産業の基礎となる資源だから、日本の産業に大きな影響があると思います。このように、海には物を動かす場所としての役割も大きく、物の流れを安全にして行うことは私達の生活を陰で支える基礎になっています。安全を確保するのは単に船と船がぶつからないようにするだけでなく、台風や海賊から船を守ったり、安全に荷物を積み降ろしたりすることができるようにすることも含まれます。これ以外にも例えば食の関係では、漁業や養殖業なども海を使って私達の生活を支えています。
 日本は周りを海に囲まれた国だから、どうしても海とは切っても切れない関係がありますが、私達ひとりひとりが日ごろの生活においてゴミの分別を意識したり、決められた処分方法に従わなかったりすることは、海を痛めつけて、結局はみんなが困ることになることをもっと意識すること、海に関わる仕事をしている人達が私達の生活を陰で支えてくれていることに感謝することが大切だと思います。

2019年12月01日