佳作 命がけのサケ

高槻中学校 2年 黒野 蒼太

 いま、ノルウェーやチリをはじめとする世界中の国々から新鮮なサケが空輸され寿司となり食べられる時代。僕はサケが好きなのでよく食べるのですが、スーパーには同じサケでも生産場所や天然か養殖など様々な違いがあり、それらの味は全く異なって感じます。又、最近ではアニサキスといった食中毒をもたらす生物が入っている物も増えてきています。しかし、これらの違いはサケの生産場所、獲り方などで変わってくると食品表示ラベルを見て思いました。インターネットで検索するとたくさんの情報があったので調べてみることにしました。
 まずは味の違いについて調べました。天然サケは脂質がサラッとしていてしつこくなく身は筋肉質で濃く感じられます。一方、養殖サーモンは脂質がとても多く脂の乗りは良いですが、サケ本来の味がほやけてしまいます。しかし、同じ養殖サケでもチリ産やノルウェー産など獲れるサケによっても味が変わり、ノルウェー産のサケは皮に厚みがあり丈夫で甘味が強いが、チリ産はノルウェー産より脂がのっているので現代人の嗜好に合っています。僕がおいしいと思っていたものはサケの脂の甘さだったんだと改めて感じられました。現代人は脂が多いものを好むと言われていますが、サケのサラッとした本来の味を楽しめるのは天然だと言われています。
 そして、何よりも食べる上で欠かせないのは食品の安全です。サケは良質のタンパク質が豊富で消化、吸収は他の魚よりも優れていると言われています。又、DHAやEPAが多く含まれており、生活習慣病のリスクを抑えるという効果もあります。しかし、生物化学的には天然も養殖も同じサケであることに変わりないですが、天然の栄養成分の他に化学物質などの多くの心配な要素が挙げられます。養殖サケのエサにはトウモロコシなどの穀物や豚肉といった天然のサケには食べることのないものを使います。この時点で自然に反する不自然な魚になっています。又、そのエサは様々な化学物質が混ぜられており、身の発色を鮮やかにする着色料などがあります。他にも養殖サケにはダイオキシンやPCBなどの汚染物質も含まれており、それらは全て脂肪に蓄積されるため病気を引き起こす危険性もあると言われています。僕はこの記事を見てショックを受けました。サケを好んで食べる人は世界中にいて、ましてや人々は脂の乗りのいい養殖サケを求める、消費者にこのようなものを届けられていると思うととても複雑な気持ちになりました。商売のためにはどのような手段を使っても、売れるサケを作るということがたくさんあると思うととても残念な気分です。
 さらに調べていくうえで、このような養殖サケの食の危険性から消費者を守ろうという活動が行われているということを知りました。その一つ目として、天然のサケのみを使用し販売する会社があります。確かに天然サケは養殖よりエサに害は無く一見安全かと思われがちです。しかし、近年は世界各地で開発が進み天然ものといって自然も海も化学物質の汚染がゼロとは言えません。だからといって海の汚染がゼロにできるとは言い難くそれは不可能に近いです。だから川に戻れずに海で死んでしまう天然のサケを少なくして、少しでも天然のサケがスーパーに回るように生かしてやることが必要だと思いました。先日、ニュースを見ているとサケバズーカというものを知りました。サケバズーカとは、アメリカで開発し、太いチューブの中をサケが通過するというものです。果物の運搬システムのようにサケが入り口から中に入ると大量の空気が送られ海から川にサケを運び、少しでも川に戻る最中の死を防いだり、体力の消耗を少なく戻したりするそうです。普段のサケの生態からすると生物学的にも生理学的にも理にかなったシステムであり、中で死ぬということは無いそうです。これはアメリカだけで日本ではまだサービスは実施していませんが、今後日本でサケバズーカのある川が増えていくと少しでも天然サケを食べる機会が出来て、食の安全を守るということも本来のサケを味わうことも出来る世の中になってほしいと思いました。サケの味を寿司屋で楽しむのはもちろん、サケを守る活動について世界の人々が動いていることがすばらしいと思いました。
 普段、当たり前に口にするサケですが、人々に届くまでに川で死ぬまいと泳ぎ続ける天然サケや化学物質を含む養殖サケなどを食べるときに意識するようになりました。今まで食の安全の危機がサケにあると思っていなかったけど、これを機に天然サケを守ろうと努力する人に感謝しようと思いました。

2019年12月01日