銅賞 働く人への感謝

岩出市立岩出中学校 2年 朝稲 新

 みんなが夏によく訪れる海。友達や家族と楽しくすごし、いろんな思い出が出来る場です。
 しかし、そんな海では今、事故が増え続けており、命を落とすことが多い場所にもなっています。そこで私はそんな命を救う人々の気持ちについて考えてみました。
 私の父は消防士で、潜水士の免許を持っています。海や川での事故があったら、仕事が休みでも、どこにいても関係なく、すぐに用意し、現場へかけつけます。
 家族みんなで少し遠くへ買い物などで出かけていても、連らくがあると、途中で帰らなければならないことも多くあります。そんな時でも父は、人の命に関わることだからと言い、文句一つ言わずに現場へ向かいます。私はそんな父を誇りに思い尊敬しています。
 父はいつも、水難事故があると、現場へ行き、朝早くから夜遅くまで海や川の中にもぐっているので、帰ってきたらいつも顔を真っ赤にして、とてもつかれた様子です。
 私は、父に潜水士の仕事の内容を聞いてみました。潜水士は、二十数キログラムもある酸素ボンベを背負いながら、夏でも冬でも大変で、私にはとうてい無理だと思いました。そんな大変な仕事なのに、一回の潜水で、人の命を救えるものなのかと疑問に思い、父に聞きました。父は、
 「人の命に関わる事だし、そんな簡単に出来る事じゃないから、日頃から訓練がある。」と言っていました。
 その訓練では、本来と同じ状態で酸素ボンベを背負い、普通のプールより少し深めのプールに入ったり、実際に流れのある海や川に入ったりするそうです。訓練でもとてもつかれるそうです。でも父は、家に帰って来たら、私たちにつかれた顔を見せず、笑顔でみんなといっしょに食事をします。
 潜水士は、人の命に関わる仕事だし、もちろんそれで自分の命を失ってしまうかもしれない仕事です。だから父もけっして怖くないわけではないと思います。それでも父は、人の命を救った時の、家族の笑顔や、喜びを考えると、とてもやりがいのある仕事だと言っています。
 夏になると、友達や家族で海に行く若者が増え、よく水難事故があるとテレビや学校で耳にします。
 「浅いから大丈夫だろう。」と、軽い気持ちで海に入る人が多いと思います。でもいつどこで、何が起こるかわかりません。ひざくらいの深さでの水の事故がとても多いと父から教わりました。たった一つしかない命の大切さをしっかり考え、その命を救ってくださっている人々の気持ちになり、日々すごしていかなければならない、と改めて命の尊さを実感させられました。私たちがこの先も命の大切さを伝えていきたいと思います。
 そして私は、そんな命の大切さに向き合い、人の命を救うために働いている父をとても尊敬し、誇りに思います。
 私も今はまだはっきりとした夢はないけれど、将来は、父のような、人のために行動できる大人になりたいです。これからも、働く人への感謝の気持ちを忘れず、毎日をすごしていきたいと思います。

2019年12月01日