佳作 マグロが抱える問題

大津市立打出中学校 3年 川那辺 舞香

 魚は食べますか。魚は好きですか。私達は今、当たり前のように魚を買って、食べています。私が特によく食べる魚はマグロです。皆さんもマグロはよく食べる魚だと思います。このマグロが抱える問題について一緒に考えてみましょう。
 私は今年、修学旅行で本マグロの養殖体験をさせて頂きました。そこで驚きの事実を知りました。それは、マグロが食べられなくなってしまう可能性があるという事です。では、なぜその様になってしまう可能性があるのでしょうか。その原因の一つはやはり「獲りすぎ」です。今、世界でマグロは、需要が高くなっています。それを背景にどんどんマグロを獲っています。このまま、適切にマグロの資源を管理しないまま、マグロを消費し続けてしまった場合、いずれマグロが食べられなくなる可能性があるのです。
 次に、畜養マグロの問題について考えてみましょう。実は、スーパーマーケットなどで「養殖」と表示されているマグロのほとんどは完全な養殖ではないのです。実は「畜養」という方法で供給されたものなのです。「畜養」は、海で獲ったマグロを生け簀で育てて、餌をたくさん与えて大きく太らせて、脂を乗せた上で売りに出すという方法です。この方法は、海からマグロを獲って来ているので、マグロ漁と同様に、天然資源を利用していることに変わりはありません。それどころか、資源の乱用や餌の扱いによって深刻な海の環境問題になり始めています。それなら、産卵から孵化、生育まで全てを養殖でし、完全な養殖をしたら良いのではないかと思うかもしれません。しかし、産卵から孵化、生育までを成功させたマグロの養殖は、日本では成功しているものの、世界的にはまだまだ普及していません。他のほとんどの魚では完全養殖ができ、世界でも普及していますが、マグロの完全養殖は、天然資源の維持、増加にとても効果的だと言われているのにも関わらず、なかなか完全養殖が普及していません。その原因にはこんなことがあります。マグロはとてもデリケートな魚であり、マグロの完全養殖はものすごく難しいことです。私が本マグロ養殖体験をさせて頂いた世界で初めて完全養殖を成功した近畿大学水産研究所では、一九七九年に本マグロの完全養殖に向けて研究に着手し、二〇〇二年の六月に成功しました。なんと、マグロの完全養殖の実現に、三十二年もの歳月を要しました。こんなにも長い時間を要した原因は、本マグロが繊細な魚であり、マグロの生態があまり知られていなかったことなどです。私が本マグロ養殖体験をさせて頂いたとき担当してくださった方は「本マグロの完全養殖の鍵は、本マグロを徹底して観察したことにありました。研究の過程で、人工孵化した稚魚が突然死んでしまう原因がわかってきます。そこで、適切な飼育環境に変えるさまざまな対策を講じてきました。」とおっしゃっていました。さまざまな問題がありながらも、みんながマグロをこれからも食べられるようにと思い、完全養殖を実現してくださったことを知りました。そのことを知り、私はとても感心しました。そして、おどろきました。また、その心を学ぶべきだなとも思いました。
 これからもマグロが食べられるように完全養殖がされていることが分かりましたが、他にも対策があるのでしょうか。マグロをこれからも食べられるようにするには、マグロを漁獲し、消費している国々が、国際条約の約束を守って、資源と漁獲をしっかり管理することが大事だと分かりました。そして、国だけではなく、私たちが資源の変化や違法な漁業を監視して、適切に管理されたマグロだけを消費していくことが大切だと分かりました。
 このように、マグロには様々な問題があるということをまず知って、関心を持ち、その上で自分には何ができるのかを見つけて、自分にできることをしようと思いました。


2023年12月07日