銅賞 海流発電について

吹田市立第一中学校 3年 槻 つくし

 私たちにとって、『海』とはなんでしょう。私がまっ先に思いついたのは『海流発電』です。
 理科の授業で発電方法の1つとして習っただけでしたが、私はとある疑問を思い浮かべました。
 それは、周辺環境への影響です。
 海に直接取りつけられたモーターは魚を傷つけかねませんし、モーターを設置することにより、生息域に変化が起きるのではないかと考えました。
 そこで、イギリスの会社「MCT社」が実施した環境調査報告書を参考にして生態系に及ぼす影響を検証してみようと思います。
 MCT社の報告書には魚類に関する報告はありませんでした。
 しかし、アザラシやイルカへの影響は報告されていたので、そちらを見ていこうと思います。
 結論から言うと、環境への影響は少なからずありました。その内容は「ネズミイルカが(海流発電の設備の)設置段階に湾内から姿を消した。」というものです。
 しかし、ネズミイルカは海流発電機が作動を始めるころには湾内に戻ってきたことも報告されています。
 つまり、アザラシやイルカの行動範囲において、発電タービンの作動は大きな影響はないと考えられると思います。
 これが魚類にも当てはまるのであらば、海流発電による周辺環境への影響は大きくないといえるでしょう。
 そして、今回調べて分かった事が他にもあります。
 それは、圧倒的なデータ不足です。この作文を書くにあたり、日本の海流発電による環境への影響が書かれた文書を探しましたが、信憑性の高いものが少なく、困ったのですが、その理由も調べてみました。
 それは漁業権の問題です。
 日本の海は今まで漁業のためにつかわれていたため、海流発電として利用するには海域の管轄者と既存の利用者の了解が必要です。
 しかし、日本の海域では同じ海域でも管理する組織が複数あることが多く、すべての組織に発電所の設置許可を取らなければいけないということでした。
 これから海流発電は主要な電力発電になっていくと思います。だからこそ環境を守るためのデータは重要なものです。
 しかし、今の日本では、実験を行うことがとても難しい状態となっています。
 これからの日本のエネルギー発電のためにも、これらの問題を解決することが必要になってくると思います。

2019年12月01日