京都市立桃山中学校 1年 松村 隆世
ぼくは、毎年夏休みに海に行きます。京都の海の中で琴引浜は、ぼくの好きな海の一つです。
京丹後網野町にある琴引浜掛津海水浴場は全長一.八キロメートルの「鳴砂」の浜として有名なビーチです。日本の昔風景百選、日本の渚百選、日本の青松百選など数々の百選に選ばれています。鳴砂はタバコの灰などが混入するとたちまち鳴かなくなることから浜辺での喫煙は禁止されており、地域全体で環境保全に力を入れているそうです。実際に琴引浜に行くとタバコの吸いがらは落ちていません。世界初の禁煙ビーチをこれからも守っていくためには、ぼく達の協力が必要不可欠だと思いました。
その鳴砂はちょっと動かせば音が出る砂のことで、その昔、日本列島には至るところに真っ白な砂浜があり、足跡一つない砂の上を歩けば「クックッ」と鳴いたそうですが、現在では限られた浜しか鳴くことはありません。
砂を鳴かせる場合、大切な条件があります。それは砂が乾いていることで雨や波しぶきで砂が湿っていると鳴きません。また、砂が乾いていても普通に歩くだけでは砂が鳴いているかどうかよく分からないので足をするように歩くとよく分かります。ぼくは「クックッ」という鳴き砂の音が大好きです。人間にとって一番心地よく感じる音の周波数は四百四十ヘルツといわれており、なんと鳴き砂の音も四百へルツ前後の周波数だそうです。鳴き砂の音がとても心地良いのには、こんな理があったのかと納得しました。
そんな琴引浜にピンチが訪れます。一九九七年一月、島根県沖で沈没したロシア船籍タンカーナホトカ号から流出した大量の重油は、日本海沿岸に漂着し大きな被害を与えました。
琴引浜にも大量の重油が押し寄せ、一時は鳴き砂も壊滅するのではないかと思われましたが、全国からのボランティア一万三千人の人達によって三月末までの三ヶ月間にわたり回収活動が行われ、元どおりの美しい浜が戻ったそうです。美しい浜を生かすも殺すも人間しだいなんだなぁと思いました。
琴引浜には微小貝が生息しています。大きさが数ミリの小さな貝を微小貝と呼んでいます。昔は全国の海岸に生息していたそうですが、海岸の開発や産業・生活排水などによる汚染でめっきり少なくなりました。琴引浜には数百種類もの微小貝が生息しているといわれ、海のきれいさを証明しています。
琴引浜で波打ち際の砂の中をよく見ると、大きさが一ミリくらいの微生物のからが見つかります。これは、有孔虫といわれる原始的な生物です。微小貝と同じように汚染に弱く、このような生物が生きている海は大変貴重です。
生物以外にも琴引浜には海浜特有の様々な植物が生育し、自然豊かなすばらしい海浜植物をみることがでます。十七種類の植物が自生しており、琴引浜は海浜植物の宝庫です。
琴引浜は、みんなの守ろうという思いがつまったすばらしい浜と分かりました。これからも、ぼく達の手で守りつづけようと思います。