銅賞 サンゴ礁から教えてくれたこと

上富田町立上富田中学校 1年 谷本 真亜耶

 最近サンゴの白化現象にいて話題になっている。この現象によって全世界のサンゴの七十パーセントが危機に瀕していると指摘する研究者もいるほどだ。サンゴの白化現象がこれほど問題視されるほど、サンゴは私たちにとって大切な存在なのだ。
 サンゴの白化現象は、サンゴの体内に多くすむ「共生藻(褐虫藻)」という小さな生き物がサンゴの体内からほとんどいなくなり、透明なサンゴの体の奥の白い骨が透けて見える現象だ。白化したサンゴは、共生藻の激減で酸素やエネルギーを十分得られず、栄養失調状態になってしまう。その結果、死んでしまったり、生きても成長が遅く、元気な卵や精子を作れなくなったりする。
 サンゴが白化する原因として、まず温暖化の影響が考えられる。海水の温度が三十度を超える状態が数週間続いてしまうと、サンゴの多くから共生藻が減り始めてしまう。ある実験では、サンゴに害のない水温二十六度でも強い光を当て続けると、サンゴが触手を引っ込め、口から共生藻を吐き出してしまう。また、三十度を上回ると弱い光でも先ほどと同じようになり、五日後はすっかり白くなるようだ。サンゴが白化を引き起こす原因は淡水や土砂の流入などのサンゴにとって、ストレスとなることが要因となることもある。
 私が住んでいる和歌山県にも「沖ノ島」、「四双島」、串本町にサンゴがあるのをみなさんは知っているだろうか。串本町はサンゴ礁が有名だが、「沖ノ島」や「四双島」も串本町に匹敵するほどのサンゴの美しさがあるそうだ。最近だとサンゴを食べてしまう巻貝やオニヒトデの発生などの問題も抱えている。二〇〇九年四月からのオニヒトデの調査と駆除活動により「四双島」最重要区域のオニヒトデは激減し、現在も駆除活動を行っているようだ。
 もしこのままサンゴの白化を止めないでいたらどうなるだろうか。実は海洋生物の種数の四分の一から三分の一がサンゴ礁に生息しているのだ。生物が多様であるほど、生物たちが作り出す様々な物質や医薬品などに応用できる可能性も高くなり、観光資源や漁業の場としても重要になっている。また、島を波浪から守る働きもあるのだ。そのサンゴ礁がなくなってしまえば、魚類が滅び、医療は衰退し、漁業を仕事にしていた人々は生活が苦しくなるかもしれない。つまり、私たち人類が滅んでしまうかもしれないのだ。
 サンゴの白化現象を止めるために、土砂の流出など地域的な環境負荷を減らしたり、サンゴ増殖・移殖などの再生策が考えられたりしているそうだ。また、サンゴ自身が環境の変化に適応する可能性も指摘されていて、研究の進展が期待されている。しかし、将来サンゴ礁がなくなるかは、私たちの環境意識と活動にかかっている。また、二酸化炭素を減らすと地球温暖化と海洋酸性化の影響は低減されることがわかっている。私たちには、サンゴの増殖・移植などの大がかりなことはできないけれど、環境意識をもって、どんなに小さいことでもいいから二酸化炭素を減らすなどの活動をしていけば、サンゴや魚などの海の生き物や私たちも豊かに暮らせる日がくるはずだ。

2020年12月02日