近畿大学附属和歌山中学校 3年 芝 奏太
私たち近畿大学附属和歌山中学校の3年生は、1年生のときから、「海チャレンジ」と称して、和歌山の海岸に流れ着いたごみを拾い、集めて、そのごみを、再利用する活動をしています。今年はそのプラスチックごみで作ったモザイクアートが、白浜アドベンチャーワールドに展示されるなど、活動が形になりとてもうれしく思っています。
私は海がとても好きです。泳ぐことも好きだし、釣りもします。今はコロナでいけなくなったけど、コロナが流行する前は、毎年家族で石垣島へ旅行にいっていました。石垣島には白保という地区があり、毎年白保に泊まります。白保海岸には、最大幅1キロにもわたる広大で濃密な世界有数のアオサンゴの大群落があります。そのほかにもユビエダハマサンゴやミオリイシ、ウスコモンサンゴなど、70種類以上ものサンゴが息づいています。私たち家族は毎年ここでシュノーケリングをしますが、シュノーケリングガイドさんがいつも「来年も見られるといいね」と言っていたことを思い出しました。来年も家族で旅行に来られることを願っての言葉かと思っていましたが、そうではなく、サンゴ自体いつ絶滅してもおかしくないことだということを知りました。というのも、地球温暖化による海水温の上昇が原因でサンゴが白化したり、台風の巨大化に伴いサンゴが破壊されたり、天敵のオニヒトデなどによる被害などサンゴにとって様々なリスクがありますが、一番は人間の行動によってサンゴに悪影響を与えることだと知りました。
その一つとして、赤土があります。海に流れた赤土はサンゴをはじめとする様々な生き物たちに打撃を与えます。赤土は、豊かな森や曲がりくねった川や湿地などの自然環境が赤土を流れ出すのを食い止めていたのですが、これらの自然環境を観光目的や宅地化などで開発された結果、赤土がサンゴ礁の生息地帯まで流れ出してしまった。赤土自体に毒性などはありませんが、粒子が細かいため、一度水に混ざると、なかなか沈殿せず、水を長時間にわたって濁らせてしまいます。すると、雨が止んだ後も日光が遮られ、サンゴは体内に共生している藻類による光合成ができなくなって、栄養不足になり、死んでしまうことがあります。また、直接赤土を被った場合も、サンゴは大きな打撃を受けます。白保や石垣島の素敵な自然や海をたくさんの人にみてもらうために、人を呼び込もうとした結果、自然を破壊してしまうという事態になってしまったと考えられる。もう一つは海洋ごみによるサンゴへの影響です。特にプラスチックごみです。プラスチックごみの多くは海洋の表層に浮かんでいますが、比較的大きなごみや、比重の重たいプラスチックは、海底へと沈んでいきます。特に問題なのが漁船から捨てられた漁網や釣り糸などで、それが故意であろうと紛失などやむを得ない事情であろうと、海に遺棄された漁具全般は海底に生息する様々な生物に絡まり、脆弱な海底の生態系を破壊しています。サンゴもその一つです。白保では今年の6月26日にサンゴに絡まった漁網の撤去作業を行ったそうです。サンゴに漁網が絡まったポイントが複数個所あったそうで、網にはシートやエギ、ウキなどが複雑に絡まっており、中には身動きが取れず衰弱したカニもまざっていたそうです。漁網はまだ大量に海に漂っており回収できたのはほんの一部だそうです。
今は様々なものや技術が開発され、楽に生活できるようになってきています。お腹がすけばコンビニに行けば、なんでも買えるし、ほしいものがあればオンラインで注文もできる。ですが、人間の暮らしが便利になればなるほど、人と人とのつながりが希薄になり、自分の行動に責任をもたなくなるような気がします。捨てられたものがそのあとどうなっていくのか、自分の行動に未来がかかっているということを改めて実感しました。
この美しい自然を自分たちの行動ひとつで守っていきたいと思います。