銅賞 海の軌跡

高槻市立川西中学校 3年 杉原 健吾

 私達は今、太陽系の中にある地球に住み、生きています。この地球の誇れるものといったら皆さんは何を思い浮かべますか。多種多様な生物、著しい発展を続ける人類社会といった十人十色の回答があると思いますが、私は「海」を思い浮かべます。この海というものは、地球の面積の約七割を占める、生命神秘に満ちた美しく、雄大な環境です。私達ヒトも他の生物同様に、そこで育まれた生命から進化してきた生物であると考えられています。
 では、どうやってその「海」が生まれ、成長してきたのでしょうか。
 約四十六億年前の地球は、多くの微惑星が巨大な隕石として地球に引き寄せられ衝突し、大きくなっていきました。そして、微惑星に含まれる鉄等の金属や水、二酸化炭素が地表に衝突する熱により、溶けたり気体になったりして原始大気となりました。その大気は衝突で生まれた熱を閉じ込めていたので、地表は千数百度以上になり、地球は文字通り「火の玉」だったと言えたでしょう。そして、微惑星があまり衝突してこなくなった頃、大気中の水蒸気が厚い雲となり大雨を降らせました。最終的に、この雨が何万年も降り続けた為、今の海ができたと考えられています。
 ここで私に、もう一つ謎が生まれました。「なぜ海は塩辛いのか」です。
 これは地球に衝突した微惑星に含まれていた、塩素ガスによるものです。このガスは微惑星衝突後、大気中に放出され漂っていました。そして、前述の大雨が降り始めると、塩素ガスが雨粒に溶け込み塩酸となって、陸地に溜まっていきました。塩酸は物を溶かす性質がある為、岩石が含んでいたナトリウムを溶かし、そして化合して塩化ナトリウム及び塩ができたのです。さらに塩酸の影響で、塩以外にも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムや塩化カリウム等が海水に存在し、それらのお陰で海の塩辛さがあるそうです。
 続いて、海の最大の魅力の一つである生物の多様性について述べていこうと思います。
 今現在発見されている魚は世界に数万種類いるとされています。海の九十パーセント以上が未解明であることに関わらずです。何十万種類、もしくは百万以上の生物が海にいるかもしれないのです。ワクワクしてきませんか。
 その海の果てしない神秘の例を挙げてみましょう。
 シーラカンスは、一九三八年十二月二十三日に発見されるまで、すでに絶滅したと考えられていました。その生態は、太刀魚のように立って泳ぎ、背骨が無く、脊柱というもので体が支えられています。
 他の生きた化石といえば、ラブカがいます。これは、一億五千万年以上前から姿をほとんど変えずに生きており、例に漏れず特長的な生態をしています。それは、鋭い歯を持つ大きな顎で餌を飲み込み、蛇のように身体を伸び縮みができるというものです。
 生きた化石でなくとも、ミツクリザメやデメニギス、チョウチンアンコウ、リュウグウノツカイの様に深海魚には独特な生体の生物が多いということがわかります。
この深海魚達を調べてわかったことは、深海は生物の生態を独特にするのに十二分の環境だということです。そして、一ページ前に書いた通り、九十パーセント以上が未解明なのです。きっと、今も深海では不思議な生態をした何かが多く活動しているのでしょう。百年後の海洋生態学が今と比べて、どのように発展しているのかとても楽しみですね。
 しかし、私達には環境保全という大きな課題があります。ごみは、海でも山でも大きく悪影響を与えるのです。この素晴らしき地球を守るには、一人一人の協力が要るのです。クリーンな環境と多様性に富んだ生態系は、いつか必ず人間にとって役に立つ時が来ます。人間は、他の生物を窮地に追いやる権利を持ちえないのです。人口が急増していき、地球温暖化といった環境問題が進みゆく今だからこそ、今一度、「環境」について深く考えなければならないのです。


2022年12月09日