近畿大学附属和歌山中学校 2年 奥田 理央
海運業について調べたり考えたりしてみようと思う。日本は島国であり食料に関しても自給自足ではない。またエネルギーの天然資源に関してはほぼ海外からの輸入に頼らないといけないのが現状である。そう考えると私たちの生活を支えているのは海運業界と言っても過言ではないだろう。そんな海運業とはどんなものなのだろうか。有名なところでいうと一八八五年(明治十八年)に日本郵船が創立された。当時は船の製造技術や天候を予測する衛星などコンピューターがない時代であり創設以降に大きな戦争もあった。そう考えると単純にリスクの方が大きいように思う。しかしどんな状況も乗り越えてきたからこそ戦後、経済成長を支えた柱と言っても過言ではない。
少しは話は変わるが一年程前に杉原千畝という人物の偉業を知った。彼は駐リトアニア領事だった。当時、ホロコーストから逃げる多くのユダヤ人に独断でビザを発給し多くの命を救った。その当時日本経由でパレスチナや北米へ向かう難民たちを救出したのは日本郵船であった。当時、長距離の移動手段といえば汽車か船だったと考えられ人生を変えるほど大きな交通手段だったと言える。
次には現代の海運業とはどういう組織から成り立つのか調べてみた。船のオーナー・船舶管理会社・オペレーターと三つの大きな仕組みがあり、船の所有管理・船員の雇用・荷主との契約など複雑であり関わる人員が多くそれぞれに役割が違いバランスが大事だと感じた。またそれを維持する費用と利益を捻出するには私が想像できない金額のやり取りが考えられる。そのためには荷主の確保と運航数により利益を得ていくと考えられる。例えば外国に輸出する行きのタンカーの積荷が百パーセントに近い状態にし、帰る便で輸入する積荷を百パーセントに近い状態にして運ぶかがポイントになる。なおかつ運航数が多いほど利益が見込めるだろう。どう輸送効果率を上げるかが焦点となりオペレーターの采配が重要となる。そう考えると輸入と輸出の積荷のバランスや収益性を考えると日本より中国と契約した方が会社として利益が多いように思った。また近年ではコロナの影響でコンテナ不足が問題になっていたのを覚えている。その際運賃の高騰もあった。料金の問題だけではなく島国である日本との利便性を考えると海外の海運会社なら日本との仕事は敬遠する可能性があるだろう。なので日本の海運会社の維持を国家レベルで今後考えていかなければならない。
また荷主側についてどんな品物が輸出されているのだろうか。問題点はないのか考えてみた。荷主先も多種多様であり食品メーカー・鉄鋼会社・石油の元売り・電力会社・電機メーカーなどもある。電機メーカーで例えると製品を作るための原料は海外から輸入し完成した商品を日本国内に納品するため海運サービスを利用することもある。日本にも多くの港があり船を動かすために必要な給油をしなければならない。そう考えるだけでも海運業と多くの組織・企業と連携していると言えるだろう。ここまで大きな業界だと今まで考えたことがなかった。いろいろ調べていくとまだまだいろんな視点から掘り下げることが多くある。今後大きな課題として挙げられるのは人員不足だと予想され、どの業界でも今後人員の確保が大変である。まして船員だと長期にわたって船に拘束される。私を含め若者と言われる人たちはプライベートや人間関係を重要視する傾向があるので長時間の労働や船内生活になじめないことも考えられる。調べていくと令和四年に国土交通省海事局がガイドラインを設け船員法改正に動いている。こういった行政の働きかけもある。しかしまだ声が上がったばっかりだと考えてよいだろう。今後新たに人材確保につながる新しい考えや条件が必要となる。私たちの生活を支えている海運業界のことは、私も含め他人事として捉えてはいけない。また海外とのつながりも大きく外交がいかに重要なのかも気付くことが出来た。
私も近い将来どういう形かはわからないが社会と深く関わる時が来る。いろんな角度から見られる目を養わなければと改めて感じた。