銅賞 もし海が消えたら

高槻市立川西中学校 3年 長井 颯人

 私達の生活に必要不可欠なものには水やガス、電気など様々なものがあります。そしてその中でも生活になくてはならないものである海、もしその海が突然消えてしまったらどのような変化が起こるのか考えてみました。
 まず初めに食生活の変化についてです。海が無くなってしまうと勿論、海で獲れる魚や貝、昆布のような海藻など非常に多くの海産物を獲ることができなくなります。これにより魚料理を食べられなくなるだけでなく、出汁を使う料理など直接的でない物にも影響を与え漁業大国である日本は甚大な被害を受けることになります。海産物が消えてしまうと日本はこれまで以上に食料自給率が下がり食品の大半を海外からの輸入に頼るようになります。その際世界的な災害や病気が流行してしまい海外からの輸入がストップしてしまうと国内の食品では輸入に頼っていた食品を補うことができなくなりききんが起こり、暴動が起きたり貧富の差が広がってしまいます。
 次に職種の変化についてです。海が消えてしまうと漁師や水産、造船や船を使う物流など海と関係している仕事は無くなり、失業者が増えるだけでなく第一次産業の過疎化が進み森林が荒れたまま放置されたり自然が減少すると同時に第三次産業の割合が高まり都市へ人口が集中し、ごみ問題やヒートアイランド現象など多くの問題に繋がっていきます。
 最後に環境の変化についてです。まず良い点としては海は地球の約七割を占めているため、土地が現在の三倍の大きさになり、家を建てたり田畑を増やすなど様々な利用ができます。次に悪い点についてです。一つ目は雨が降らなくなることです。本来雨は海や川の水が蒸発して水蒸気になり水蒸気が上昇してそれ以上空気中に水蒸気が溶けられなくなることによって雨が降ります。海からの水蒸気がなくなると雨雲になるほどの水蒸気量にならなくなり雨が降らなくなります。雨が降らなくなると陸が乾燥し、農作物や草木は水分が不足して枯れてしまいます。そうすると野菜や果物だけでなく牧草や穀物を食べる家畜も死んでしまい、人間の食べる物がなくなり地球の生物が絶滅していきます。二つ目は気温の変化です。水には温まりにくく冷めにくいという性質があり大量の水で満たされている海は気温の変化を小さくしています。そのため海がなくなると夏は暑くなり冬は寒くなります。また海水の流れである海流も気温の調節に関係しています。赤道に近い場所の温い海水は北へ流れることで海流と一緒に熱が運ばれます。赤道と北極では気温が全く違うと感じるかもしれませんが、もし海が消えてしまうと更に気温の差が広がるのです。三つ目は空気圧の変化です。現在一気圧は私たちの住んでいる場所が基準となっていますが海の水がなくなると海底面が一気圧の基準になるため空気が薄くなってしまいます。海底の平均的な深さは約四千メートルなので、海の水がなくなった世界では今住んでいる場所が富士山の頂上のように空気が薄くなります。
 このように、海は私達の生活の様々な面に関係しているだけでなく、現在の環境を維持する役割を持っています。そんな海をこれからも現在の環境のまま保つには、今見えている問題だけでなく、私達の生活に隠れている問題やこの先出てくる問題を見つけ出し、そのために何かをしなければ、本当に海が消えてしまいます。そのためにもまずは私達の意識を変え、一歩ずつ解決に進んでいかなければいけないと考えました。


2022年12月09日