佳作 海ごみ

長岡京市立 長岡中学校 3年 黒石 育人

 最近、僕は「海ごみ」いう言葉を聞いて具体的にもっと知りたいと思い、調べてみました。すると、たくさんのことが分かりました。
 まずはじめに驚いたことがありました。それは、海ごみの総量です。「海ごみ」とは海洋を漂流しているごみ及び漂着したごみの総称のことですが、その総量が一億五〇〇〇万トンを超えているのです。そして、毎年八〇〇万トン以上が新たに流れこんでいます。また、日本の海浜上に堆積しているごみの総量は約十五万トンでした。これらの数字は推定したものなので、正確な量ははっきりとは分かりませんが、海ごみがかなり多いということはよく分かりました。
 海ごみの問題点についてはたくさん分かりました。僕が最も深刻だと感じたことは、生物が本来のエサとごみを区別できずに、誤飲・誤食してしまうことです。海ごみには、毒物や有害物質が多分に含まれているのでとても危険です。しかし、そのようなことは海洋生物に分かるはずもなく、間違えて飲み込んでしまうのです。こうした誤飲・誤食を繰り返していると、ごみが胃などの消化器にたまり続け、死んでしまう場合もあるのです。また、生き物に魚網やロープなどが絡みついたりしてはずれないという問題もあります。例えば、オットセイの首やウミガメの体に魚網が絡まってしまったりします。他にも、アザラシの口にリング状のプラスチックがはまってしまったり、魚の体にプラスチックホルダーがはまったり、ペリカンが釣り糸にからまったり、上げればきりがありません。ごみの多くがプラスチック素材のため、とても丈夫であり、簡単にははずれず、最終的に死んでしまうものも多いです。さらに海ごみには海浜植物の生育を阻害するという問題もあります。海岸に堆積したごみのために、海浜生物の光合成や、健全な生育が阻害されている場合もあるのです。
 このように、生物に与える問題点だけでもたくさんあることが分かりました。
 他にも海ごみの問題点はたくさんありました。まず、景観悪化による観光への影響です。ごみによる景観の悪化は、観光客減少につながる大きな問題です。実際にその場所を訪れた観光客から汚れていると苦情が発生することもあります。
 次に、ごみによる漁業への影響です。水産物にごみが混入してしまうと、取り除き作業が発生します。中でも、海苔やモズクなどの海藻やチリメンジャコなどの細かい水産物に小さなごみが混入すると、除去や確認の作業は難しく、漁業者には大きな負担になります。また、水産品にごみなどの異物が混入すると、商品価値を下げてしまいます。劣化したプラスチックごみの微細破片が進行しているため、細かいごみによる水産品への混入は大変な問題です。
 続いて、ごみを回収処理するための莫大な費用負担という問題です。漂着したごみの回収・処理の費用は、ごみを回収した場所の市町村が毎回負担しています。中でも離島では過疎化や高齢化から、回収が困難なうえに、処理施設が島内になく、本土まで運ぶ費用の負担が重圧となっています。
 さらに、水分、塩分、汚れのごみへの付着のためのリサイクル困難という問題もあります。ごみには漂流中に様々な生物や汚れが付着するため、リサイクルに適しません。また、多種多様な材質のごみが混材しているため、分別が困難です。
 最後に、紫外線や高温でごみが劣化し、小さな破片になるという問題です。ごみは、時間とともに劣化し破片になります。もとは大きな一つのごみが、破片化で多くのごみに変わります。ごみの中で多くの割合を占めるプラスチックは、細かくなっても自然分解しません。小さくなると、回収も難しくなります。また、小さくなればなるほど、より多くの生き物がエサと間違えて誤飲する可能性が高くなるといわれています。
 このような「海ごみ」のいろいろな問題点を知って、僕は、軽い気持ちでポイ捨てをしてはいけないと思いました。特に、生物の誤飲を知って、そう強く思いました。そのような人間の軽い行動のせいで多くの生物が危険にさらされています。また、結果的に人間は自分で自分の首をしめることにもなっています。だから、人間一人一人が、ごみを持ち帰るという当たり前の行動をするようになってほしいです。

 

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2018年12月01日