佳作 今日の沖縄の海の眼

吹田市立 第一中学校 3年 眞本 愛唯

 沖縄の海の底をのぞいた瞬間、私は息をのんだ。あれを一言で言えば、海のパレードだったと思う。情熱的な赤色のサンゴ礁を青色や黄色のカラフルな魚たちがとりかこんでエメラルド色の透き通った海を泳いでいたのだ。
 それから二ヶ月後。私は新聞で沖縄に関する記事を見た。そこには大きな文字で「サンゴ移植」とかかれていた。米軍新基地建設予定地である名護市辺野古で希少なオキナワハマサンゴとヒメサンゴが見つかったため、移植できなければ新基地建設はできないという内容だった。それならば、移植すればいいのだろうか。私はそう思わない。
 これまでのサンゴ移植の実績をみても、3年後には多くが死亡しているそうだ。私は沖縄に初めて行ったとき海辺に白化したサンゴ礁のかけらが大量にうちあげられていたのをこの目で見た。現在さまざまな環境問題が原因でサンゴの白化現象が起きているというのに、死亡する可能性の高い移植を行うのはもってのほかである。サンゴ礁を救おうとして行ったはずの移植が、結局サンゴ礁を殺すことになっているのだ。サンゴ礁の移植は環境保全措置になるとはいえないだろう。
 沖縄県民にとってはそれだけではない。沖縄には約七十五パーセントの米軍基地が押しつけられている。そのうえ、また新しく米軍基地が建設されるなんて信じられないことだ。もしそうなってしまったら、これから先沖縄はずっと米軍基地に悩まされてしまうだろう。
 沖縄では米軍新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票条例制定を求める署名運動が起きていた。私は、沖縄県民の志はとても立派なものだと思った。沖縄は歴史的背景から見てもさまざまなことを押しつけられてきた県である。なぜ沖縄なのだろうか。別に沖縄でなくてもいいのではないかと私は思う。
 沖縄という海に囲まれ海産物にめぐまれ、絶景が広がる県では、日本が今のまま何も変わらなければ、さまざまな問題にぶつかることになるだろう。これから先沖縄に対する視線を日本は変えていかなければならない。今の日本はあまりにも冷たい。沖縄の海はいつまで美しい青い海でいられるだろうか。これから先、想像していないことが起きそうな気が私にはするのである。

 

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2018年12月01日