吹田市立 第一中学校 3年 柿窪 優理亜
私がこの前見た某動画サイトで、とても感動したある話を紹介したい。
これは日本人なら誰もが忘れられない悲劇の日、そう、東日本大震災のあの日、あの時の話である。
宮城県在住の横山育夫さんは、自身がとても大切にしていた「ハーレーダビッドソン」「ナイトトレイン」というバイクも津波に流れてしまった。
しかし、コンテナごと津波に流されたバイクは、なんと六千五百㎞も離れたカナダ・ブリティッシュコロンビア州のグレアム島で見つかった。
バイクを発見したピーター・マイクさんは、日本から震災によって流されてきたのではないかと推測した。
ピーターさんはテレビ局にコンタクトをとり、横山さんが持ち主であることを突きとめることができた。
そして、このバイクのことを知った、ハーレーダビッドソン社は横山さんに連絡した。
「あなたのバイクが、カナダで発見されました。修理してお送りしますよ。」
見つかった報告だけでなく、修理まで申し出たハーレーダビッドソン社の親切な計らいに対し、横山さんは
「大変ありがたいお気遣いですが、お断りします。私の周囲の人々も、震災と津波により多くの人や大事な物を失いました。私だけがこのような恩恵をあずかるわけにはいきません。」
横山さん自身、大切な物をたくさん失っていた。
しかし、それは周りも同じ。自分だけが特別扱いされるわけにはいかないという、横山さんの強い信念と悔しさがあった。
そして、震災による痛みや悲しみを忘れないでほしいという思いから、ハーレーダビッドソン社の担当者にこう伝えた。
「ハーレーダビッドソンに展示していただき、津波の犠牲者に捧げてもらえないでしょうか。」
この言葉はハーレーダビッドソンの担当者だけでなく、多くの人の心に響いた。「津波バイク」として展示されているナイトトレインは、今でも津波や地震の悲惨さをうったえ続けている。
私はこの話を聞いたとき、どんなに遠く離れていても、人の心はつながっている、少しの奇跡と偶然があれば、人の心を一つにすることができるということを学んだ。
